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2020年6月24日(水)

河井夫妻 選挙の公正害す

原資税金か 首相の責任重大

神戸学院大教授 上脇博之さんに聞く

 広島県内の地方議員や首長、後援会関係者ら94人に計約2570万円を配布した容疑で前法相の河井克行容疑者と参院議員の河井案里容疑者=ともに自民党離党=が逮捕されました。事件の問題点について政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大学教授に聞きました。(丹田智之)


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(写真)神戸学院大教授 上脇博之さん

 現金を受け取った側の証言などから河井克行容疑者と妻の案里容疑者に買収の意図があったことは明らかです。金額と規模の大きさから公職選挙法222条に規定された多人数買収罪で起訴されるべきです。

 国民主権のもとで選挙は公正に行われなければなりません。お金で票を買えば有権者の自由な意思に基づく投票にならず、選挙の公正を害します。また資金力のある候補者が勝つことになってしまいます。だからこそ買収が禁止されています。

相手の票目的か

 昨夏の参院選・広島選挙区(改選数2)で案里陣営は、自民党県連が推す溝手顕正元防災担当相の票を奪おうとしたと考えられます。だから克行容疑者が中心となり、案里容疑者を当選させるため、手段を選ばず買収していたのでしょう。現金を受け取ったとされる首長や県議、市議には後援会があり、その票をあてにしていた可能性があります。金を渡した相手だけを狙った単純な買収ではないのです。

 政治家が互いの活動を支援するために資金を提供することはあります。その場合は領収書をやりとりし、政治資金収支報告書に記載します。領収書もなしに現金を手渡せば、買収を疑われる覚悟があったことになります。克行容疑者は選挙後、法相に任命されました。安倍晋三首相の任命責任は重大です。

説明責任果たせ

 克行容疑者と案里容疑者のそれぞれの政治団体には自民党本部から計1億5000万円の資金が提供されました。報道で明らかになったことで、初めて案里容疑者が認めました。

 買収資金に国民の税金が原資の政党助成金が流用された可能性が指摘されています。また自民党には幹部に「政策活動費」として支出される資金があります。受け取った幹部が何に使ったか収支報告書に記載してこなかった“使途不明金”です。

 これらが買収資金の原資に入っていないか、河井夫妻と安倍首相ら自民党幹部には説明責任があります。河井夫妻の立件にとどまらず、自民党本部も捜査対象にして徹底的に解明されることを期待しています。


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