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2020年6月24日(水)

主張

「Go To」事業

疑念は払しょくされていない

 安倍晋三政権が新型コロナウイルス感染拡大による経済の冷え込みに対応するとして、旅行や外食などの消費を後押しする「Go Toキャンペーン」事業を8月から始めようとしています。同キャンペーンは巨額の事務委託費が大問題となり、国民が不信の目を向けている事業の一つです。また、コロナで苦しめられている中小業者にはすぐに役立つのかという指摘もあります。国民が納得できる仕組みへの見直しが不可欠です。

巨額の委託費が大問題に

 「Go Toキャンペーン」事業は、割引券やクーポン券の発行などを税金で支援し、観光を中心に、飲食やイベントなどの需要喚起を目指すというものです。4月に成立した2020年度第1次補正予算に1・7兆円の事業費が盛り込まれました。批判が上がったのは、最大3095億円もの事務委託費です。事業費全体の約2割にも上ります。

 事業の事務委託費では、中小企業を対象にした経済産業省所管の持続化給付金をめぐり、事業を委託されたサービスデザイン推進協議会が、電通などに業務を丸投げし、巨額の利益を手にする疑惑が厳しく追及されています。

 「Go Toキャンペーン」でも同じ構図が浮き彫りになる中で、今月初めに、経産省が一括して事務を委託する事業者を公募するというやり方を中止し、観光を所管する国土交通省や、飲食を所管する農林水産省を加え、それぞれが委託先を公募する方法に変えました。

 しかし、公募のやり方を変えても全体の委託費が減る保証はありません。赤羽一嘉国交相は21日のNHK番組で、「上限額より相当、圧縮される」と発言したものの、具体的な金額は示しませんでした。委託費を三つの省に分けただけになる恐れは濃厚です。

 共同通信の世論調査では、「Go Toキャンペーン」事業の巨額の事務委託費について、「適切でない」が57・3%となり、「適切だ」の24・8%を大きく上回っています(「東京」など22日付)。委託費は大幅に削減すべきです。

 持続化給付金の支給事業だけでなく、昨年10月の消費税増税の際の「キャッシュレス決済」のポイント還元事業でも、経産省から事務を請け負ったキャッシュレス推進協議会が業務を電通などに再委託し、電通が利益を得ていたことが判明しました。このような事態がまん延していることはあまりに深刻です。「Go Toキャンペーン」事業でも、事務委託費が大企業の食い物にされないようにすることが必要です。

ただちに救う支援を

 もともと「Go Toキャンペーン」事業には、コロナ禍の下でのかつてない規模での観光客の減少によって、打撃をこうむっている中小業者などを緊急に支援するのに有効なのかという疑問の声が上がっていました。外出自粛や休業要請などで観光業や飲食業はすでに大きな痛手を受け、倒産や廃業が相次いでいます。国の事業が始まる8月まで持ちこたえられるかどうかはまさに死活問題です。

 政府は、地方自治体の対策などの活用をいいますが、国としても、中小の旅行業者や旅館、運送業者などを直接支援する対策を緊急に具体化し、必要な財源を確保し、実行すべきです。


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