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2020年6月23日(火)

主張

現行安保条約60年

存続の是非 根本から問われる

 きょう23日は、日本全国で安保反対闘争の怒りが燃え広がる中、現行の日米安保条約が発効してから60年です。現行安保への条約改定を強行した岸信介元首相の孫である安倍晋三首相は「今や日米安保条約は、いつの時代にも増して不滅の柱。アジアとインド・太平洋、世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱」(今年1月19日)と述べます。しかし、安倍政権が強行した安保法制=戦争法の下、日本が米国の戦争に参加し、自衛隊が米軍とともに海外で武力行使する危険性がいつにも増して高まっているのが実態です。

危険な大変貌を遂げる

 1960年1月19日署名、6月23日発効の現行安保条約は、「極東における国際の平和と安全」のための米軍による基地使用(6条)と日本領域(在日米軍を含む)に対する武力攻撃への日米共同対処(5条)を定めています。同条約を中核とする日米安保体制はこの60年で危険な大変貌を遂げました。

 きょうが「慰霊の日」である75年前の沖縄戦とその後の米軍占領下で築かれた極東最大の沖縄の米軍基地は、71年の沖縄「返還」協定によって存続し、安保条約が適用されるようになりました。その結果、本土の米軍基地と一体化し、日本全土が米国のアジア侵略の前線拠点となります。73年には米空母が神奈川県の横須賀基地を世界で唯一の海外母港にしました。

 78年策定の「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)は、(1)武力攻撃の「おそれ」での日米共同行動(2)「極東における事態」での米軍による自衛隊基地の共同使用などの「便宜供与」を定め、安保条約は実質改悪されました。81年には日米首脳の共同声明で、公式文書として、初めて日米の「同盟関係」が明記されました。

 91年には、湾岸戦争を機に米国から「血を流す貢献」を求められ、自衛隊の掃海艇がペルシャ湾に初派遣されます。92年には、沖縄に新設された米第31海兵遠征隊とともに海外展開する米強襲揚陸艦が長崎県の佐世保基地を母港にします。海兵遠征隊や強襲揚陸艦の海外配備も世界で唯一です。

 96年の日米首脳の「安保共同宣言」は、日米安保体制を「アジア太平洋安保」へと実質上、大改悪しました。同宣言に基づく97年の「ガイドライン」改定や99年の「周辺事態法」の成立で、アジア太平洋地域の紛争などに介入・干渉する米軍を自衛隊が後方支援できるようになります。

 2001年のアフガン戦争や03年のイラク戦争では、自衛隊が米軍を支援するためインド洋やイラクに派兵されました。「周辺事態法」をはるかに超えるため、特別措置法によって強行され、文字通り「地球規模の日米同盟」への変質をもたらしました。

「戦争する国」の大本

 安倍政権は15年、安保闘争以来、空前の規模に達した国民の反対運動の中、新「ガイドライン」の策定と安保法制の成立を強行し、集団的自衛権行使など自衛隊の海外での武力行使を可能にしました。

 安倍首相は今、米国言いなりに異常な軍拡を進め、憲法9条改定にあくまで執念を燃やすなど「戦争する国」づくりをいっそう推進しています。その大本にある安保条約が「不滅」「不動」のままでいいはずがありません。存続の是非を根本から問い直す時です。


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