2020年6月19日(金)
きょうの潮流
初々しい青年議員の訴えは、新たな時代の息吹にあふれていました。「本会議場において活発なる討議の展開ができますることは、明朗なる政治、すなわちガラス箱の中での民主政治の発達助長に資すること大なり」▼戦後、新憲法のもとで開かれた最初の国会。当時29歳、初当選の田中角栄はそんな意気込みを口にしました。のちに自民党から首相になる人物までもが国民主権となった国会のあるべき姿を▼ところが、国民のための役割を封じようとしているのが安倍政権です。コロナ禍の渦中に閉じられた通常国会。不十分な対策、不透明な業務委託。さらに、選挙でカネをばらまいた買収容疑で逮捕された前法相とその妻の国会議員も▼相次ぐ失政や不祥事で、まさに国会がチェック機能を果たさなければならない、そのときに。数々の疑惑や不信が尽きないなかでの閉会の強行は、この政権がいかに民意からかけ離れているかを物語っています▼国会の私物化はこれまでも。国民の多くが反対した安保法制の際には会期を95日間も延ばし、「働き方」やカジノ法を押し通すときも同様に。一方で、自分たちに都合が悪いとなれば、追及をかわすために野党や市民の「国会を止めるな」の声に背を向けて逃れる情けなさ▼こんどの国会で政治を動かしたのは、市民と野党の共闘でした。降りかかったコロナ危機から、みんなの命とくらしを守る。国民が主人公となった原点にも通じる熱いうねり。その姿は、新しい政治のあり方を示しています。