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2020年6月18日(木)

新型コロナ対応 職員・病床・検査体制不足

感染137人 保健所多忙

千葉・松戸 第2波へ課題提起

 新型コロナウイルス感染症の第1波では、各地の保健所がその対応で、職員が過労死ラインを超えて働くことを余儀なくされるなど、多忙をきわめました。活動を振り返り、第2波に備えるために何が必要か、検討が始まっています。千葉県松戸保健所で現状と課題をみました。(西口友紀恵)


写真

(写真)松戸保健所で新所長(右)から説明を受ける(左へ)日本共産党の加藤英雄県議団長、山口正子松戸市議、みわ由美県議=8日、千葉県松戸市(一部加工)

 松戸保健所は、松戸、流山、我孫子の3市(人口約82万人)を管轄する、13ある県の保健所の一つです。6月16日までの管内の感染者数は137人。発生の多くは松戸市です。

 帰国者・接触者相談センター(同保健所)への電話相談は2月中旬から1日100件を超え、4月中旬には最多の500件近くに。管内では、2月下旬に1例目の陽性患者が出て以降、患者数が増加し、4月15日には23人の陽性患者が確定するなど、業務は膨大になりました。(別項)

残業80時間以上

 同保健所のコロナに対応する疾病対策課の保健師は基本4人といいます。新(しん)玲子所長は「緊急事態に対応するため通常の業務を一時縮小・中止するなどして、すべての課をコロナ対応にシフトした」と話します。

 4月中旬、県庁・松戸市などから1日最大15人の応援を得ました。しかし、千葉県職員労働組合保健所協議会の梁瀬(やなせ)和美議長は「それでも疾病対策課の4人の保健師の過重は大きく、連日午後10時、11時まで勤務。全員が2月から毎月、過労死ラインを超える80時間以上の残業を続けた。県の24時間コールセンターで受けた相談が夜中の2時3時に回されてくることもあった」と指摘します。所内の他の課の職員も、土日に交代で出勤する状況でした。

搬送に3時間も

 患者発生が相次ぐなか、困難をきわめたのが病床の確保です。当初管内の感染症病床は8床だけ。県内の感染症病床も埋まり、受け入れてくれる病院を探して電話をかけ続ける一方、4月に管内の入院待機者は70人を超えました。高速道路を走って片道3時間かかる管外の一般病院に、職員が防護着姿で運転し搬送する事態に。管外の病院に搬送された入院患者は管内の2倍近くに上りました。

 PCR検査は、3カ所のクラスター発生で一時期試薬の不足に悩まされましたが、いまは調達可能となり、同保健所では多い時には1日あたり約100件のPCR検査を実施していました。

 5月20日には、松戸市と松戸市医師会の協力を得て、民間検査会社を活用する「松戸地域外来・検査センター」が開設。所長は「市内にあと2、3カ所検査センターがほしい」と話します。

 第2波への備えに向けて、現場からは多くの課題が提起されています。

 一つは職員の確保です。新所長は「日替わりの応援派遣ではなく、長期に従事できる人を」と要望。梁瀬議長は「第2波と東京五輪も考えると、年度途中でも県には正規の感染症担当者を2倍にする体制強化が求められる」と強調します。

 他にも、保健所職員へのマスク支給(現状は一部を除いて自前調達)や、感染防護具の備蓄▽中等度・重症の患者搬送体制の確立や患者搬送時の感染予防対策の強化▽PCR検査関連機器の更新▽所内の対策本部体制の継続・充実―など課題は山積。第2波へ向けた備えが急がれます。

 日本共産党県議団(加藤英雄団長)はPCR検査センターについて、県に繰り返し拡充を求め、10カ所の増設が決定。県議団は、感染者用病床数の確保、検査体制の抜本的強化などを求めています。

主な保健所内の業務

 (1)帰国者・接触者相談(2)帰国者・接触者外来への受診調整(3)患者・接触者調査(4)検体回収(5)検体のPCR検査(6)患者搬送(7)患者の入院調整(8)患者・濃厚接触者の健康観察(毎日電話で病状確認)(9)クラスター対応


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