2020年6月12日(金)
主張
第1四半期GDP
消費不況の長期化は明らかだ
2020年1~3月期の国内総生産(GDP)の改定値がこのほど発表され、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・6%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算では2・2%の減となりました。先月発表の速報値よりは上方修正されていますが、マイナス成長は2期連続で、民間最終消費支出や輸出は悪化か横ばいとなっており、昨年10月の消費税増税や今年からの新型コロナウイルスの感染拡大による日本と世界の経済の落ち込みを改めて浮き彫りにしました。検査・医療体制の強化と併せ、強力な経済対策を実行することがいよいよ重要です。
2期連続のマイナス成長
実質GDPは、消費税増税後の昨年10~12月期が前期比1・9%減、今年1~3月期が速報値で前期比0・9%減、改定値が0・6%減で、2四半期連続のマイナス成長です。GDPの2期連続マイナスは、欧米では「リセッション(景気後退)」とみなされます。コロナ・ショックの影響が表れる今年4~6月期はさらに大幅な落ち込みとなり、戦後最悪のリーマン・ショック後の09年1~3月期(年率17・8%減)の下落幅を上回るとの見方も、強まっています。
1~3月期のGDPの改定値を費目別にみると、全体の5割強の民間最終消費支出(個人消費)が昨年10~12月期の前期比2・9%減に続き、0・8%減と消費不況の深刻さを浮き彫りにしています。このほか、民間住宅投資も前期の2・3%減が1~3月期は4・2%減と大幅に落ち込みました。コロナ禍による世界経済の悪化で、これまでの“頼みの綱”だった輸出も、前期の0・4%増から一転、マイナス6・0%と大幅な落ち込みを示しています。
こうした指標にもかかわらず、GDPの改定値が速報値より上方修正となったのは、民間企業の設備投資が、速報値の0・5%減から一転1・9%増へと反転したためです。
GDP以外の最近の経済指標を見ても、消費関連では総務省の家計調査で4月の実質消費支出が前月比11・1%減と過去最大の落ち込みを示しています。輸出関連では4月の財務省・国際収支速報で海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支の黒字額が、前年同月比で84・2%もの大幅減となっています。アメリカ向けの貿易が大きく縮小したほか、コロナによる訪日外国人客の激減が反映しています。
日本経済の悪化は、企業の倒産件数や解雇・「雇い止め」の件数の急速な悪化でも明らかです。民間信用調査機関の東京商工リサーチによると、コロナ関連経営破綻は5月の83件に続き、6月は10日までに43件と急増しています。厚生労働省発表の4月の毎月勤労統計調査でも、現金給与総額(名目賃金)が4カ月ぶりのマイナスです。休業要請による営業時間短縮で、労働時間が短くなっていることが反映しています。
経済立て直す抜本策を
2020年度の第2次補正予算案が審議中ですが、雇用と暮らしへの支援をこれ以上遅らせることはできません。安倍政権に日本経済を立て直す抜本的な対策を取らせるとともに、大企業にも社会的な責任を果たさせ、不当な解雇や「派遣切り」などをやめさせることが必要です。