2020年6月3日(水)
ほぼ全部再委託
持続化給付金事業 電通などへ
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国の持続化給付金の事務事業を769億円で受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会が実際に得るのは1・7億円で、受注額の99%以上が大手広告代理店の電通とその関連企業などに再委託・外注されていることが2日、分かりました。経済産業省が禁じる「全部再委託」にあたる恐れもあり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い苦境に陥った中小業者や個人事業者を支援する事業費用が、大手企業に流れている疑惑が浮かび上がった形です。
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同日、国会内で開かれた野党合同ヒアリングで明らかになったもの。
ヒアリングで経産省が配布した資料によると、同協議会が得るのは▽人件費1・2億円▽事務機器のリース料などで0・5億円の計1・7億円です。
同協議会から電通には749億円で再委託されています。同社は、コールセンター業務や申請サポート業務などを、電通ライブなど子会社5社に外注していました。
さらに電通ライブからは、竹中平蔵氏が会長の大手人材派遣会社パソナ、大日本印刷、IT業のトランスコスモスなどに外注されていました。
また同協議会は、みずほ銀行に給付金振り込み手数料を払うなど、16・4億円を外注していました。
経産省によると電通、電通ライブ、パソナ、大日本印刷、トランスコスモスはいずれも、同協議会を構成する企業。同協議会の従業員は、これらの企業を中心とした出向社員計21人です。構成企業が国の委託料を分け合った形で、同協議会の実態が問われています。
ヒアリングで野党議員は経産省がガイドラインで禁止する「全部再委託」に当たるのではないかと指摘。経産省の担当者は「金額だけ見るとかなりの部分が再委託なのは間違いない」と述べました。
日本共産党の笠井亮衆院議員は「給付金を受け取れていない申請者が多くいる。委託の過程にこそ不備がある。しっかりと検証するためにも、入札時の資料を出してもらわないと、国民の納得は得られない」と追及しました。