2020年5月31日(日)
ポストコロナ 連帯の社会を
安保法に反対する学者の会シンポ
日本のナショナリズムを検証
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現代日本のナショナリズムを検証しようと、安全保障関連法に反対する学者の会がChoose Life Projectの協力で30日、オンラインシンポジウムを開きました。のべ1万3千人以上が視聴しました。
はじめに動画を配信する形で5氏がそれぞれの視点から日本のナショナリズムや右傾化の動きについて報告しました。小熊英二慶応大教授は日本の右傾化について「自民党議員の右傾化で政治が右傾化して見える」と分析。香山リカ立教大教授は、「90年代後半から『公』が称揚され始めた」と戦後民主主義を振り返りました。小森陽一東京大名誉教授は、「心脳ナショナリズム」と名付けた、安倍政権の人々の怒りと恐れをかき立てる手法を批判。林香里東京大教授は日本のメディアの体制側の目線になりがちな弊害を分析しました。
特別報告として酒井啓子千葉大教授が中東の反政府デモの、腐敗した国家から祖国を取り戻す動きを報告。「日本ではなにを国家から取り戻すのか」と問いかけました。
討論では、岡野八代同志社大教授、中野晃一上智大教授、西谷修東京外国語大名誉教授の3氏が「戦争は人と人の対立、憎悪。疫病は違う。連帯や協調の方向へ働きかけが必要」(西谷氏)、「コロナ禍が戦争と言われ、強い国家に頼る空気の中でナショナリズムがあおられないか」(中野氏)、「社会にセーフティーネットがしっかりあれば強いリーダーシップがなくていい。困ったところに手をさしのべる国家のあり方が求められている」(岡野氏)と意見を交わしました。
広渡清吾東京大名誉教授があいさつ、佐藤学学習院大特任教授が「コロナ禍で安倍政権の本質が明らかになり、大きな地殻変動が起きている。ポストコロナの共生と連帯を生み出し、命・人権・反戦平和のつながりを築いていこう」とよびかけました。