2020年5月25日(月)
コロナ危機 共産党の「緊急提案」ここまできた
深刻な「新型コロナ危機」に対して、日本共産党は、「感染爆発、医療崩壊を止める緊急提案」(4月16日)を発表し、世論を背に、他の野党とも協力しながら、国会論戦を通じて一歩一歩、政治を動かしています。同時に、安倍政権の対応はまだまだ不十分です。切実な要求の着実な実現まで、いまが声のあげ時です。
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10万円給付
対案示し論戦 市民・野党と共に
政府が当初打ち出した「一部世帯に30万円」給付案は、「世帯主の収入が半減」「収入が減って住民税非課税水準に」など、さまざまな条件で、いま困っている人たちを「線引き」するもので、あまりに対象が狭いうえに基準も複雑かつ不公平だと、国民的な批判が巻き起こりました。
日本共産党は、すべての日本在住者を対象にまず「1人10万円」を支給することがより迅速な給付を実現するためにも有効だと主張。政府が当初案を撤回し、「すべての日本在住者への1人10万円給付」(特別定額給付金)を決めたことは、国民の声が政治を動かした結果です。
ただ実際の給付では、先行して始めたマイナンバーカードを使ったオンライン申請で余計な事務や混乱が生まれるなど問題が生じています。オンラインでもマイナンバーカードを使わない簡易な方法も可能だったのに、政府が、普及率が16%程度と低迷しているカードの普及を狙ったため、多くの役所で電子証明書の暗証番号の設定など、マイナンバーカードの手続きに長い行列ができています。余計な目的にこだわらず、一刻も早い給付を進めることが求められます。
家庭内で暴力や虐待を受け、避難している被害者への特別定額給付金の支給については、支援者の声や党国会議員の国会質問が力となり、総務省は5月1日に事務連絡と自治体向けQ&Aを発出。被害者への支給とともに民間支援団体も手続きに必要な「確認書」の発行や代理申請ができると通知しました。
「未成年や一時保護児童には支給できない」という行政の誤った対応についても、日本共産党は支援団体と連携し、給付金をめぐる事務連絡の改善を政府に要望。15日、総務省から新しい事務連絡と自治体向けQ&Aが発出され、未成年も一時保護児童も給付金を受け取れると明記されました。
収入が激減した世帯では、10万円の給付ではとても足りないという声も出ています。生活を支える継続的な補償が必要です。
検査体制
抜本的な財政措置が必要
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新型コロナへの感染を調べるPCR検査の問題では、安倍政権が検査数を絞り込む方針に固執。検査の“仲介役”である保健所も、長年の削減路線を背景に過重業務でパンク状態となり、医師が「検査が必要」と判断した患者が検査を受けられない状況が続いてきました。
そうしたなか、感染経路が不明の「市中感染」が広がって院内感染につながり、「医療崩壊」が各地で発生。多くの医療関係者からPCR検査数を大幅に増やして感染者を見つけ、早期の隔離・治療を行うべきだという提言が出され、医師会や医療機関、自治体が協力して、保健所を通さずに医師の判断で迅速に検査できる「PCR検査センター」や、発熱外来をつくる動きが起きてきました。
大学関係者からも、「検査体制の遅れは日本の恥」「(検査数拡大に協力するため)国立大学は蜂起すべきだ」(山梨大学の島田眞路学長)などの声が相次ぎました。
日本共産党はPCR検査体制の拡充を政府に要求。「緊急提案」では医療関係者らの提言を踏まえ、PCR検査センターを各地で立ち上げることや、そのために必要な予算や人員体制、医療機器を国の責任で確保することを求めてきました。
圧倒的な国民世論、医療関係者・大学人の提言や野党の論戦に押され、安倍首相も「PCR検査センターを設置する」(4月17日)と明言。厚労省が検査センターの設置を促す事務連絡を都道府県などに発出しました。
問題は、国が検査センターの設置経費などを第1次補正予算にまともに計上していないことです。検査数の抜本増は、感染者数を把握し、安心して経済活動を行ううえでも、秋・冬に想定される感染拡大の第2波、第3波での医療崩壊を止めるうえでも喫緊の課題です。そのために抜本的な財政措置が求められます。
医療支援強化
次の感染拡大に備えを
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新型コロナの感染患者を受け入れる病院には膨大な財政負担がのしかかっています。医療用マスクや防護服など器材の不足は深刻です。コロナ患者に対応していない診療所や病院も、一般患者の受診抑制による経営難にあえいでいます。ところが、安倍政権は医療体制の問題を“現場任せ”にしてきたのです。
日本共産党は早くから医療機関への財政支援を提起してきました。「緊急提案」では、コロナ患者受け入れによる減収分の助成を決めた東京都杉並区は1病院あたり月額1億2800万~2億8000万円の減収が生じると試算していることも紹介。「予算を数兆円規模に拡大し、医療崩壊を止める」ことを求めました。また、感染患者をまだ受け入れていない病院にも、一般患者の大規模な受診控えによる減収が直撃していることにも警鐘を鳴らしてきました。
「医療崩壊」の危機が切迫するなか、安倍首相も志位委員長の国会質問に対して「医療提供体制の機能は国が責任を持って、しっかり守っていく」と答弁(4月29日の衆院予算委員会)。第1次補正予算で、医療・検査体制の整備や、軽症・無症状の患者を隔離する宿泊・療養施設の確保のための交付金(緊急包括支援交付金)を組み、医療用マスクや防護服などの供給に着手しました。しかし、交付金の額は1490億円にすぎません。
医療団体は「緊急的な助成がなければ、地域での医療崩壊が強く危惧される」(日本病院会など3団体の調査結果)と厳しい実態を指摘。日本医師会は、第2次補正予算案で医療体制などの支援に約7兆5千億円を確保するよう要望しています。全国知事会も、1490億円しかない緊急包括支援交付金の「飛躍的増額」を緊急提言しました。さらに自民党議員も加わる超党派「医師国会議員の会」は、「生命は決して財源論では語れない」「平時からの社会保障及び医療提供体制の確保に全力を傾けることが国民を守るために必要だ」と提言しました。
党派の垣根を越えて一致した要求をぶつけ、安倍政権を包囲しているのです。政府は次の感染拡大に向け、医療体制の強化を急ぐべきです。
雇用調整助成金
上限改善 申請も簡便に
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事業者が支払う休業手当の一部を助成する雇用調整助成金のニーズがコロナ禍で劇的に高まっています。日本共産党は早くから助成水準の引き上げなどを要求。政府は、助成率を最大10割に引き上げるなど特例による拡充を重ねてきました。ただ、実際の利用はつい最近までわずかな水準にとどまっていました。
日本共産党の志位和夫委員長は4月29日の衆院予算委員会で、利用が進まない原因として(1)手続きが煩雑であまりに時間がかかる(2)助成額に従業員1人あたり「1日8330円」という上限がある―という二つの問題点を指摘し、抜本的な改善を求めました。
志位氏は、休業した雇用者への政府支出の上限が、英国では月額約33・3万円と、日本の約16・7万円(「1日8330円」/1カ月の休業日数を20日とした場合)の約2倍あることを指摘。「わが国の支援は世界で最も手厚い」と語ってきた安倍晋三首相に、それなら英国並みの補償をと迫りました。
質疑では言い訳に必死だった首相も、5月14日の会見では、雇調金の抜本的拡充を表明。「1日8000円余りが上限となっていた助成額を1日1万5000円まで引き上げる」と表明しました。
手続きの問題に関しては、志位氏の質問の後も、党議員団が、現場の声を受けて申請を抜本的に簡素化するよう繰り返し要求。雇調金には事前に休業計画を提出した上で申請時にも多数の書類が必要でした。19日以降は、休業計画は不要となり、小規模事業主については申請時の書類も大幅に簡素化されました。
雇調金は、事業主が従業員に休業手当を払った後に一部を補填(ほてん)する仕組みとなっているため、事業主にはつなぎ資金が必要です。支給のいっそうの迅速化が求められています。
持続化給付金
中小・個人の声届け前進
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新型コロナの影響で収入が半減した中小企業等に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円を手当てする「持続化給付金」には、給付額が実態に見合わず、困っているのに対象から漏れてしまう人たちも少なくないという問題があります。日本共産党は「緊急提案」で、「対象を直接・間接に損失を受けた事業者全体」に広げることと「給付額を、固定費を払える額へと引き上げ」ることを求めました。
事業者から悲鳴があがってきたのが休業中でも必要になる家賃など固定費の支払いです。
日本共産党など野党4党1会派と日本維新の会は4月28日、新型コロナの影響による休業などで2割以上減収した中小企業者などの家賃を支援する法案を衆院に共同で提出しました。志位氏が、衆院予算委員会で、家賃など固定費の補償に踏み込むべきだと迫り、首相から「さらなる対応も考える」との答弁を引き出したのはその翌日のことでした。
首相は5月14日の会見で「家賃負担を軽減するための給付金も新たに創設する」と表明。自民党も減収した中小業者などを対象にした給付制度を新設するよう提言しています。
持続化給付金をめぐっては、制度の規定で収入を「事業収入」として確定申告した人を支給対象とし、「雑所得」「給与所得」として申告した人を対象としないという新たな問題も起きています。
当事者が18日、申請対象に、収入を「雑所得」「給与所得」として申告してきたフリーランスも含めるよう求めて、署名約3万8千人分を各党の国会議員に手渡しました。
日本共産党の小池晃書記局長は「党派を超えて、直ちに対応するよう求めていく」と表明。党議員も質問を繰り返す中、経済産業省は22日、事業収入であることが確認できれば、給与所得や雑所得が減少したフリーランスも受給できるようにする方針を示しました。
自治体向け交付金
「補償の財源に」拡充訴え
第1次補正予算で創設された自治体向けの地方創生臨時交付金(1兆円)について、日本共産党は「緊急提案」で、「せめて2倍に」と提起。交付金を観光や運輸をはじめ、地方で重要な位置を占める産業・業種への支援や地方独自の外出自粛・休業補償などをすすめる重要な財源として拡充するよう求めました。
当初政府は、「地方創生臨時交付金は休業補償には使えない」と言っていましたが、自治体で休業要請に応じた企業を「協力金」で支援する動きが広がる中、全国知事会も協力金への同交付金の活用を認めるよう国に要求。政府も認めざるをえなくなりました。
こうした経過の中で、いまの額では大部分が同協力金に使われるとの見方を示している全国知事会の飯泉嘉門会長(徳島県知事)は、国に対して「最低でも2兆円」の増額が必要だと要求。北村誠吾地方創生担当相も「検討する」(19日)と応じています。
政府は同交付金などの増額と家賃支援策や雇調金の拡充などを盛り込んだ第2次補正予算案を、27日をめどに決定する方針です。
学生支援
手を携え学費減免さらに
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新型コロナで保護者の収入が減少したりアルバイト先が休業したりするなか、学生の5人に1人が退学を考える事態が広がっています(「高等教育無償化プロジェクトFREE」調べ)。学びの権利を守ろうと200を超える大学の学生が学費減免や支援を求めるインターネット署名を展開。運動は大学の垣根を越え学費の一律半額免除を求める署名へ発展しています。
安倍政権は当初、低所得世帯を対象とした大学等無償化法が今年度から開始されることを理由に、学生支援に背を向け、第1次補正予算でも7億円しかつけませんでした。
日本共産党は、学生アルバイトによる収入減も国の支援対象とすることや、学費や奨学金の支援を提案。日本共産党の小池晃書記局長は4月30日の参院予算委員会で、学生の生の声を安倍首相に突きつけ、「7億円で学生は救われるのか」と追及しました。政府から「しっかり支援したい」(安倍首相)、「(第1次補正で)必ずしも十分とは考えていない」(萩生田光一文科相)との答弁を引き出しました。
日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派は、5月11日に共同で授業料の一律半額免除などを盛り込んだ学生支援法案を衆院に提出しました。
こうした声に押され安倍政権もバイト収入が絶たれるなどし、困窮している学生を対象に1人10万~20万円を給付することを閣議決定しました。
学生たちは、政府の動きを一歩前進としつつ、給付額が低すぎるうえ、給付対象も約43万人と狭く、大学、短大、高専、専門学校など約370万人の約1割にすぎないと批判。第2次補正予算に学費の一律半額減免を盛り込むよう求めています。