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2020年5月16日(土)

公正な税制でコロナ対処を

トマ・ピケティ氏が主張

富裕層への課税 大企業巻き込む…

 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏はこのほど、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で「暴力的な不平等を目の当たりにしている」として、危機に対処するため富裕層に課税し公正な税制を確立することが必要だと主張しました。(桑野白馬)


 世界的ベストセラーとなった『21世紀の資本』で知られるピケティ氏は、英紙ガーディアン(12日付)のインタビューで、1918年のスペイン風邪流行の際、欧米では死者率が0・5%から1%だったのに対し、インドでは6%に達したことに言及。「都市封鎖の影響は、大きなアパートに住む人とホームレスの場合では違ってくる」と述べ、貧困層がより深刻な影響を受けると強調しました。

 ピケティ氏は、深刻な格差是正のため、北半球の先進諸国が国民の生活保障を使命とする「社会国家」を取り戻すと同時に、南半球に偏在する途上国の発展が必要だと指摘。大企業を巻き込んだ公正な課税システムの構築が求められると述べました。

 その上で、1980年代以降に確立した現代の資本主義体制が富裕層や多国籍企業の税逃れを後押しし、「貧しい国々が公正な税制を構築することを妨げ、社会国家を構築する能力を弱体化させている」と批判。「社会を平等な方向に動かすには、常に大きな社会的、政治的動員が必要となる」とも語りました。

 各国のコロナ対策で想定される多額の公的債務への対処については、富裕層への課税が有効だとの認識を示しました。EUでの対処の仕方については「ユーロ圏を救うためには欧州中央銀行(ECB)が加盟国の債務のより大きな部分に責任を負う必要がある」と強調しました。


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