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2020年5月16日(土)

コロナ 漁業者、収入ゼロも

価格が下落、輸出後退

国は直接支援を

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、飲食店などをはじめとする需要や輸出が大幅に減少し、全国の漁業者、水産業関係者に深刻な被害が広がっています。収入ゼロの漁業者もおり、直接支援の拡充などを求めています。(内田達朗)


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(写真)千葉県勝浦市で小型漁船が並ぶ漁港

 全国の沿岸漁業者でつくる「JCFU全国沿岸漁民連絡協議会」(沿岸漁民連)は、全国での影響を調査しています。

 それによると、全国的に鮮魚価格が2分の1~3分の1にまで下落。採算割れが生じています。中央卸売市場での取引の減少、航空便の欠航などで消費地への出荷が滞り、産地の市場では値が付かず燃料費などのコスト負担のため休漁せざるを得ない漁業者が増えています。養殖業へも影響が広がっており、出荷量が3割減少した地区もあります。

 輸出も大きく後退しており、農林水産省の農林水産物輸出入統計(3月分)で、水産物の輸出は前年同月比で21・9%減少しています。北海道では、道内でのホタテのキロ当たりの単価は11%下落しました。要因の一つとして、新型コロナによる輸出需要の減少が指摘されています。

 日本共産党の畠山和也前衆院議員が4月上旬に行った聞き取りで北海道・常呂(ところ)漁協(北見市)の吉田恭専務は「ホタテの在庫がだぶつき、浜の冷凍施設がいっぱいになりつつある」と語りました。

流通業者も直撃

 漁業者だけでなく、水産物を食卓まで届ける流通業者をも直撃しています。

 日刊水産経済新聞(4月23日付)によると、関西・西日本の拠点である大阪市中央卸売市場本場に参加する仲卸業者でつくる大阪市水産物卸協同組合の調査では、仲卸業者の半数以上が、取引実績が昨年比5割未満に減少したと回答。仲卸業者の三つの組合と荷受会社が連名で、業者の固定費である施設利用料の減免などを市場開設者に要請しました。

保管料の軽減を

 沿岸漁民連は4月22日、江藤拓農水相に対し、▽売り上げ減少分を直接補てんする経営支援策▽経営維持資金などの融資制度の充実▽現在利用している制度資金の返済期間猶予や条件緩和▽制度について全国の漁業者への周知―などを求める要請書を送付しました。

 日本共産党の紙智子参院議員は農林水産委員会(5月12日)で、漁業者団体が行う水産物の需給調整のための保管料・入出庫料・運搬経費などへの支援拡大、水産物需要の大幅減少に直面する卸・仲卸業者にのしかかる卸売市場での施設使用料など固定費への支援などを要求。江藤拓農水相は「もし(次の)補正があれば検討の対象になり得る」「できるだけ現場の状況を把握する努力はさせていただく」と答えました。

 沿岸漁民連の二平章事務局長は「収入ゼロという漁業者も多い。スルメイカの大不漁、クロマグロへの漁獲規制で苦しむなかでのコロナの打撃で“三重苦”です。国には、沿岸漁民の経営と生活を守る直接支援を求めます」と話しています。


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