2020年5月15日(金)
相談たらい回し 電話つながらず 結局断られた
PCR対象なのに
20代女性「めげそう」
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、把握できていない多くの感染者の存在が指摘されながら、PCR検査体制拡充の遅れが続く日本。保健所に検査対象であるとされたにもかかわらず、「優先的に検査をするのは難しい」と断られた人もいます。当事者に取材しました。(岡素晴)
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東京都内在住の20代女性=会社員=は在宅勤務中の4月中旬、発熱に襲われました。
「37度前半から38度半ばぐらいを行ったり来たりするような発熱が10日間ぐらい続きました。今は全快し家で仕事をしています」
女性はまず厚生労働省の相談窓口に電話。簡単に症状を説明したところ、帰国者・接触者相談センターに電話するように言われたといいます。
30回かけて
センターには約30回かけ続けました。ようやくつながると、今度は保健所への連絡を指示されました。
「保健所にも30回ぐらい電話をかけました。言われたのは『症状自体は検査対象である』と。ただし、周囲に感染者が出て濃厚接触している事実が今のところ見られず、海外からの帰国者でもない。優先的に検査をするのは難しいとして、病院に行ってくれと言われました」
ところが、近所の病院を受診しようとしたものの一度は断られます。「保健所からの指示」をたてに再び申し込まなければならず、受診できたのは症状が出てから5日目でした。
診療の結果、解熱剤や、せき、関節痛に効く薬などを服用しながら、自宅療養することに。
「マンション住まいで1人暮らしだから、ゴミ出しや買い物でどうしても外出しなければならない時、気をつかいました。友人に買い物を頼んで玄関先に置いてもらったり、ウーバーイーツ(飲食宅配代行サービス)を注文したりしてしのぎました」
解熱剤などを服用後、5日前後で熱は下がり、それからしばらくしてせきも治まりました。
重症なら…
比較的軽症だったと話す女性ですが、熱に伴うだるさや頭痛もある中、数十回も電話をかけ続けた上に、窓口をたらい回しにされ、大変な思いをしたと語ります。
「私の場合、会社から絶対に連絡するよう言われたのもあって粘りましたが、そうではなく、まして重症だったら心がめげたでしょうね。保健所の人手不足などで仕方がない部分もあるのでしょうが、次にもっと大きな感染の波が来たら対応しきれないと思います」