2020年5月15日(金)
備えが大切 コロナ+自然災害
感染リスク考え避難方法確認を
新型コロナ感染症の広がりが予断を許さないなか、沖縄県が梅雨入りしました。感染症と自然災害の発生による複合災害の危険をどう防ぐのか―。防災関係の58学会でつくるネットワーク「防災学術連携体」は、備えを市民に呼びかける緊急メッセージを出しています。(西口友紀恵)
防災関係58学会緊急メッセージ
「新型コロナウイルス感染症が全国に広がるなかで、豪雨や地震などの自然災害が起これば、避難所の密集、密閉、密接といった『3密』が原因で、オーバーシュート(医療許容量を超える感染者の爆発的増加)の可能性が高くなり、極めて難しい状況になります」。防災学術連携体の米田雅子代表幹事は、「備えがなければ、複合災害になる確率は高い」と指摘します。
どんな備えが必要なのか―。
まず住所地のハザードマップや地域防災計画などを参考に、河川の氾濫や土砂災害、地震・火山災害などの危険性と避難の必要性について、「今のうちに自分の目で確認してほしい」といいます。
「一番訴えたいのはウイルス感染のリスクが高い現在、これまでとは違った避難の方法を考えること」と。あらかじめ近くで避難する場所を決めておく(必ずしも公的避難所である必要はありません)、近くの安全な場所に親せきや知人の家、頑丈なビルなどがあれば、自主避難先としてお願いしておく、などを提起しています。
感染症の人から人へうつる経路は、(1)相手に直接さわったりドアノブなどを介して間接的に接触したりする接触感染(2)せき、くしゃみなどによる飛沫感染(3)空気を共有することで伝播(でんぱ)する空気感染―です。新型コロナウイルスでは(1)と(2)が主な感染経路とされています。
これらの感染対策が、公的避難所では必要になってきます。▽避難所の数を増やす▽学校では体育館だけでなく教室も使う▽避難者間の間隔を保つスペースの確保▽ついたての設置▽消毒薬などの備品の整備―などをあげています。
感染者や感染疑いの人がいる場合は、建物やエリアを分けるなど隔離のための対策がいります。住民から自治体に対策を働きかけておくことも大切だと米田さんはいいます。
災害時の感染防止対策を町内会などで事前に相談しておくことも大切です。公的避難所を利用する予定人数を調べて市町村に伝えておくことは、「3密」を避けるために重要といいます。
気象庁の予報では、この夏は平年よりも気温が高くなるといわれています。マスク着用により熱中症のリスクが高まるおそれがあります。米田さんは「熱中症で基礎体力が衰えると、ウイルス感染者の重症化のリスクも高まる」と指摘、扇風機や空調設備などの早めの準備を提起しています。
(緊急メッセージは、「防災学術連携体」のホームページで見ることができます)