2020年5月14日(木)
緊急事態宣言延長 業者は 支援・補償一刻も早く
「つぶれてからでは遅い」
緊急事態宣言の5月末までの延長を受け、自粛や休業の長期化を強いられている中小・零細業者から「これ以上は耐えられない」という声がわき起こっています。「仕事再開のめどが立たず、今月を乗り切る展望が見えない。休業や固定費への補償を一刻も早く」―業者たちが訴えます。(青柳克郎)
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「ニュースで延長を知って、パニックになりました。店を再開できないのなら、今月の家賃や水光熱費、機器のリース代をどうやって払えばいいの? 支払い額は毎月50万円を超えますが、先月までの支払いで、もう運転資金はありません」
東京都内で居酒屋を営む50代の女性、Aさんが不安を語ります。
開店して10年。口コミで若者客が増えるなど、経営に余裕が生まれつつあったところでのコロナ危機です。
完全に限界超え
自粛要請を受け、店は4月初めから休業。営業再開に向けて店内の清掃などをしていたところ、延長が発表されました。客足が激減した3月以降、ほとんど売り上げのない月が3カ月続くことになり、店が耐えられる限界を完全に超えます。
音楽イベントの企画・運営を手がける岡宏音楽事務所=東京都中野区=の岡宏代表は「イベント主催者が人の集まる行事をためらう傾向が強まり、5~8月の企画もキャンセルが相次いでいる。8月までに入っている仕事は1本だけになった」と嘆息をあげます。
音楽の仕事に携わり60年。橋幸夫や山本譲二といった有名歌手のライブステージを手がけてきました。いま、2月から半年にわたってほとんど仕事がないという事態です。
自らが指揮をとり、コンサートや、ステージでのバック演奏をする15人のバンドを率いる岡代表。気をもむのはメンバーたちの生活です。中心は40~50代。収入を失い、音楽とは無関係のアルバイトでしのぐ日々が長期化しています。
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岡代表が言います。
「私たちは、音楽で人の心を癒やしているという自負があります。しかし、自粛がこれ以上延びると、生活が全く成り立たなくなります。庶民が楽しめる文化を支える人間が、この苦境を乗り越えられる施策を、国は真剣に考えてほしい」
受給めど立たず
Aさんは4月末、地域の民主商工会の協力を得て都に休業協力金を申請しました。国の持続化給付金も申請しようとしていますが、手続きが難解で、役所には電話が殺到していて問い合わせができず、受給のめどが立ちません。
全国商工団体連合会は今月、国に対し、中小業者やフリーランスへの早急な支援を繰り返し要請。持続化給付金の要件緩和や申請手続きの改善、家賃やリース料といった固定費への補助などを求め、各地で取り組みを強めています。
「とにかく支援を急いでほしい。店がつぶれてからでは遅いのです」。Aさんが訴えます。
「うちの店が今月を乗り切れるかどうかは、国や都の給付が月内に出るかどうかにかかっています。さらなる休業を求める以上、損失や固定費への補償を急いでほしい。店さえ守られれば、コロナ収束後、また元気に商売できるのですから」