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2020年5月12日(火)

論戦ハイライト

授業料半額 国の責任で 宮本衆院議員

介護・福祉現場もたない 倉林副委員長

 新型コロナウイルス対策で困窮にあえぐ学生、派遣労働者、感染リスクにおびえながら懸命に事業を行う介護現場―。衆参予算委員会での集中審議が行われた11日、日本共産党の宮本徹衆院議員、倉林明子副委員長(参院議員)は、国民の切実な実態を取り上げ、安倍晋三首相に対策を迫りました。

授業料半額 国の責任で

宮本衆院議員

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(写真)安倍晋三首相などに質問する宮本徹議員=11日、衆院予算委

 宮本氏は、新型コロナの影響で生活困窮に直面する学生と派遣労働者の実態をとりあげ、「授業料半額」「雇用を守れ」と安倍晋三首相に迫りました。

 学生団体FREEの調査で、学生の5人に1人が退学を考える事態になっています。

 宮本氏は、野党共同で授業料半額、最大20万円を給付する法案を提出したと紹介。私立大で平均90万円など高すぎる授業料等が退学に直面する原因だと述べ、「授業料半額を求める学生の署名が広がっている。国が大学・専門学校に補填(ほてん)し、授業料を半額にすべきだ」と求めました。

 安倍首相は、経済的に厳しいアルバイト学生への支援について「野党の意見も聞きながら速やかな追加的な対策を講じたい」などと述べました。

大学利用できず

 宮本氏は、オンライン授業では実験も実技もできず、図書館も閉じて調べ物もできないと指摘しました。

 宮本 政府・自治体の自粛要請で大学が利用できないのだから、政府の責任で授業料を減額するのは当たり前ではないか。

 萩生田光一文科相 (学生への)説明は一義的には大学にしていただく必要がある。国の責任で授業料半額にせよというのは順序が違う。

 宮本 順序が逆なのは大臣の答弁だ。まったく筋が通らない。

 宮本氏は「高い授業料を作りだしたのは歴代自民党政権の責任だ」と批判し、授業料半額を要求しました。

派遣切り止めよ

 「自動車部品工場で派遣労働者が中途解雇され、次の派遣先の紹介も派遣元に断られた」「試食販売の派遣の仕事がなくなり、収入が途絶えた。家賃も払えない」―。全国の派遣労働者から、労働組合に寄せられた悲痛な声を紹介した宮本氏。「こうした実態をつかんでいるのか」とただしました。

 加藤勝信厚労相は「解雇見込み労働者が309名」などと答弁。宮本氏は「309名なんて規模じゃない。労組の相談だけでも、はるかに大規模の派遣切りがされている」「政府自身が実態調査を行い、早急に指導を」と強く求めました。

 また、経済団体などを通じ解雇防止を要請したという安倍首相に対し、宮本氏は、全国で3万8128の派遣事業所のうち、要請を出した業界団体に加盟しているのは914社だけだと指摘。2015年の派遣法改定時、安倍首相が「雇用安定措置を講じない派遣元には厳正な指導等を行う」と述べていたとして、「厳正な指導をしたのか」と追及しました。

 安倍首相は答弁にたたず、加藤厚労相も「違反が認められる場合は是正指導を行う」と述べるだけ。

 宮本氏は、安倍首相が「雇用を守り抜く」というなら、派遣会社に対し、強く指導するよう迫りました。

 宮本 雇用調整助成金の仕組みも抜本的に改め、前払いで支給し、しっかり雇用を守っていく必要がある。

 首相 雇調金がより迅速に支給されるよう、事後チェックの導入も含め手続きの簡略化を指示している。解雇を防止するため、活用を促すよう要請したい。

 宮本氏は、「お願い」ベースでなく、雇用安定にむけて厳正に指導するよう重ねて求めました。

介護・福祉現場もたない

倉林副委員長

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(写真)パネルを示して質問する倉林明子副委員長=11日、参院予算委

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 「このままでは現場はもたない」―。参院予算委で、倉林氏は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療、介護、障害福祉分野の深刻な実態を突き付け、現場の声に耳を傾けない政府の姿勢をただしました。職員全員への危険手当など、感染拡大防止と事業継続のための早急な「補償」を強く求めました。

自力で歩けなく

 倉林氏は、集団感染が発生した名古屋市で、同市の要請に従った介護事業所の2週間の休業によって身体や認知の機能に影響が出たとする利用者は6割に及んだと紹介。利用者家族の負担が増していると述べ、加藤勝信厚生労働相の認識をただしました。

 倉林 「明らかに認知症が悪化した。自力で歩けなくなった。食欲が低下して体重が大きく減った」などの声が出ている。高齢者に必要な介護が確保できているのか。

 厚労相 全国的とはなかなか言えないが、ポイントを絞って把握したい。

 倉林氏は、緊急事態の下でも政府が介護サービスの継続を要請していると指摘し、「全国的には無理だと言うが、政府の責任が問われている」と追及。高齢者や障害者らの生活支援の確保について緊急の全国調査の実施を求めました。

危険手当を要求

 倉林氏は、補正予算の介護施設への「危険手当」の対象が感染者の居留する施設に限られ、国の負担は自治体支援分の3分の2であり、限定的だと批判。ドイツで介護職員に1500ユーロ(約17万4千円)の特別手当の支給を決定したとの報道を紹介し、介護、障害福祉など現場で支援にあたる全ての職員への危険手当などの支給を求めました。

 倉林 国の責任で、特別手当、危険手当を職員全員に全額支給すべきではないか。

 首相 柔軟に対応できるようにしているが、機動的に支援を行いたい。

 倉林氏は、民間のスーパーでパート職員も含めて特別手当の支給を決定していることを紹介し、「事業継続を要請しているのは政府なのに、必要な物資もない、支援もないというのは、あまりに無責任だと言わざるを得ない」と批判。介護、福祉の利用者、職員全員へのPCRの検査とあわせて、実施を強く求めました。

 倉林氏は、安倍政権による介護保険制度の見直しと2021年度の介護・障害福祉サービス報酬改定について延期を求めましたが、安倍首相は「予定通り実施する」と現場の声に背を向けました。

 倉林氏は、全国介護事業者連盟による4月の調査で1789カ所の介護事業所の93%が経営への影響を懸念していると紹介し、減収分の補償を要求しました。

 厚労相 どういう支援が必要で、どういう実態か、よく聞き取りをしたい。

 倉林 明らかに減収している。これから把握するという認識は、「遅い」を通り越している。直ちに手を打つべきだ。

 そのうえで倉林氏は、「人生最後のとりでとなるのが介護だ。事業継続可能な財政支援に踏み出すべきだ」と訴えました。


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