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2020年5月8日(金)

主張

中小業者の家賃

支援策の実行を一刻も早く

 新型コロナウイルスの感染拡大によって危機的状態に陥っている中小業者の事業継続を支えるため、家賃などの固定費を補償することが急務です。のしかかる家賃によって多くの業者が悲鳴を上げています。日本共産党など野党は4月末、共同で家賃支援法案を衆議院に提出しました。法律の制定をはじめ一刻も早く支援を具体化する時です。

事業を続けられなくなる

 7都府県に緊急事態宣言が発せられた4月7日以降、多くの中小業者が政府、地方自治体の自粛要請に応じて休業あるいは営業時間を短縮し、休業しない業者も経験したことのない売り上げの落ち込みに苦しんでいます。売り上げがゼロになっても、固定費を支払わなければ事業を続けられません。4月末に5月分の家賃を払えず、閉店する業者が出ています。

 民間の信用調査会社・東京商工リサーチによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による企業倒産は1日までに114件に上りました。2月と3月の計25件から、4月に入って日を追って急増してきました。「休業要請と一体で補償を」という訴えは日に日に痛切なものとなっています。

 感染症を克服し、経済を正常化しようとしても、企業の99%以上を占める中小業者が事業所や店舗を失っていたのでは事業を再開できず、経済の再建は困難です。そうなる前に政府が手を打たなければなりません。福岡市は、県の要請を受けて休業や営業時間を短縮した事業者を対象に、月50万円を上限に店舗の家賃を8割支給する仕組みをつくりました。北九州市も家賃の8割補助を決めました。地方自治体にできて政府にできないわけはありません。

 本来これは4月に成立した補正予算の中に盛り込むべきものでした。補正予算の審議の中では家賃など固定費への支援、補償が与野党を超えた声になりましたが、安倍晋三首相は持続化給付金で対応するとして家賃補助を補正予算に組み込みませんでした。

 持続化給付金は売り上げ半分以下の業者が対象という線が引かれ、支給は1回だけです。売り上げが3割減、4割減でも固定費の支払いは困難です。固定費は毎月かかります。「家賃など固定費が毎月30万円、40万円という単位で出ていく。政府と自治体の給付金を合わせてもとてももたない」という声が出るのは当然です。

 野党の法案は支援対象を、2割以上減収した中小企業と資本金10億円以下の中堅企業、個人事業主、新規事業者、開業前の事業者らとしています。政府系金融機関の日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫が家賃を肩代わりし貸主に支払います。返済猶予期間は1年を念頭としますが、公庫が経済情勢や事業者の状況を考慮し、延長や債権放棄も検討します。貸主が家賃を減額した場合、減額分の一部を国が補助できるようにすることも盛り込みました。年間5兆円の費用を想定しています。

いまこそ知恵を出し合い

 首相は緊急事態宣言延長の記者会見で「速やかに追加的な対策を講じる」と述べました。重要なのはスピードを上げることです。遅れは許されません。野党の提出した家賃支援法案の審議をはじめ与野党が知恵を出し、対策を具体化し、実行を急ぐべきです。


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