2020年5月8日(金)
医療・補償の緊急策を実行しつつ第2次補正予算案を速やかに
緊急事態宣言延長 志位委員長が会見
日本共産党の志位和夫委員長は7日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」の延長について、「感染状況や医療体制の状況からやむを得ないと考えます。延長するからには、今度こそ、これまでのような後手後手の対応でなく、検査と医療体制の抜本的強化、暮らしと営業に対する補償の強化を迅速に行うことを強く求めていきたい」として、2点述べました。
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第一は、安倍晋三首相が4日の記者会見で約束した「追加措置」について緊急に実行に移すことです。
安倍首相は「家賃負担の支援、雇用調整助成金の拡充、アルバイト学生への支援について追加措置」を約束し、PCR検査センター設置を表明しています。志位氏は、「自ら約束した追加措置を一刻も早く具体的に示すことを求めます。野党とも協議し、即実行に移していく。多くの人々が明日が見えない困難のもとにおかれているなかで、スピード感がどうしても大事です」と語り、週明けに予算委員会の集中審議が予定されているとして、速やかに対策案を示すよう求めました。
第二に、志位氏は、「同時にすすめるべきこと」として、4月30日に成立した補正予算の内容は極めて不十分だとして、第2次補正予算の速やかな編成を求めました。
志位氏は、補正予算では、医療体制支援についても「緊急包括支援交付金」の1490億円では1桁足りないとして、PCR検査体制強化、病院への財政的補償のためには数兆円規模で医療に対する予算をつける必要があると強調。1人一律10万円の給付金も中小業者向けの持続化給付金も1回こっきりでは全く足りず、持続的な補償が必要だと述べました。
その上で「補正予算が、この危機的な現状を打開して、収束に導くだけの十分な内容ではないことは予算委員会の質疑ではっきりしています。速やかに第2次補正予算の編成を行い、国会でしっかり審議し、次の手を打つよう求めたい」と語りました。
「宣言」解除――検査・医療体制の強化が大前提
志位氏表明
志位氏は会見で、安倍晋三首相が、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の解除にかかわる基準を示すと表明したことについて問われ、「政府が判断の基準を明示することは必要です」と表明するとともに、解除を考える際に、(1)PCR検査体制を抜本的に増やし、感染の全体像を把握すること(2)医療提供体制の抜本的な強化をはかること―という二つの大前提が必要だとして、「この二つの面で政府の姿勢を変えることが解除にとって必要です」と指摘しました。
第一の前提について、志位氏は、感染の現状はごく一部しか把握できていないと指摘。厚生労働省クラスター対策班の西浦博北大教授が「少なくとも10倍以上は感染者がいる」とし、専門家会議の尾身茂副座長も記者会見で「10倍以上」と述べていることに言及。「少なくとも1桁違う感染者がいることを、厚生労働省クラスター対策班、専門家会議が認めている。いま見えているのは『氷山の一角』であって、その下にもぐっている海の中にある感染の実態というのは、分からない。『氷山の一角』だけで判断するのは非常に危ういことになる」として、PCR検査数を少なくとも1桁以上増やす対応をすることが前提になると語りました。
安倍首相はPCR検査センターの設置を言明しているが、「本腰が入っていない。予算措置をつけて政府が責任をもって行うべきだ」と指摘。全国的な規模でPCR検査センターを設置し、さまざまな工夫もしながら効率的に検体の採取を行う体制をつくることが必要だと話しました。
京都大学の山中伸弥教授が、6日のインターネット番組で行った安倍首相との対談で、全国の国立大学がネットワークを生かしてPCR検査に取り組めば、1日10万件程度の検査能力に引き上げることができると語ったことにも触れながら、「政府目標の2万という数字も思い切って引き上げて、感染の疑いのある人は速やかにPCR検査ができるようにする必要がある」と話しました。
同時に、病院、介護施設、福祉施設など、集団感染がおこりやすく、リスク管理をより厳格にする必要のある施設の職員、患者、入所者に対しては、感染の疑いがあるなしにかかわらずPCR検査を行っていくことが必要だと述べました。
第二の前提として、志位氏は、民間病院でコロナ患者を受け入れれば、月に億単位の赤字が出ると指摘し、「この減収を補てんする。これをやらないと、医療機関が到底もたないわけです。医療機関にしっかりお金をつけることが必要です」と指摘しました。
その上で「検査と医療のどちらにも十分な対応をする。この二つで政府の姿勢を変えることが、『宣言』解除の前提です」と述べました。