2020年5月5日(火)
外国人実習生 困窮
ベトナムに妻と3歳の長男「いつ会えるのか」
帰国できず 仕事もない
新型コロナウイルス感染拡大の影響で帰国できず、実習期間終了後もわずかな現金を頼りに帰国を待つ外国人技能実習生がいます。日本で新しい仕事につけず、手持ちの資金もわずかで、困窮しています。
(小梶花恵)
|
ベトナム人のグエンさん(30)とトゥアンさん(23)、ナムさん(27)=いずれも仮名=は、山梨県内の金属加工会社で、製品の傷の補修や、成型後に素材の出っ張りをとるバリ取りの作業をしていました。
生活費を借りて
4月9日に3年間の実習を終えました。帰国のため予約していた3月22日の便が欠航し、会社が実習期間を延長。4月15日、28日、5月4日と欠航が決まるたびに変更予約した便が何度も取り消され、今は会社が借り上げたアパートで15日の便を待っています。
実習が終わってからは家族と電話したり、スマホで映画を見たりする毎日です。感染を心配し、買い物に出かけるのも必要最低限にしています。会社には「アルバイトでもいいから帰れるまで働きたい」と申し出ましたが、できませんでした。感染拡大で仕事が減り、会社が雇用できる状況にないからです。
実習時は手取りで平均約15万円の月給を受け取り、10万円ほどをベトナムの家族に送金していました。ナムさんは4月分も送金してしまい、欠航後の生活費5万円を同僚のベトナム人から借りました。グエンさんとトゥアンさんはお土産用として手元に残していた現金で食いつないでいますが、「残り少ないので心配」といいます。
実習状況を監査する監理団体の男性は会社と交渉し、4月15日のアパート退去期限を29日まで延長してもらいました。29日以降は同僚のベトナム人の部屋に泊めてもらっています。
生活ができない
外国人技能実習生は2019年に30万人を超えました。実習期間は1年から5年で、毎年一定数の実習生が帰国しますが、法務省はビザの期限を過ぎても帰れない実習生の数を把握していません。
グエンさんたちの知り合いだけで、日本から帰国できずにいるベトナム人実習生は十数人いるといいます。「感染を恐れ、『いつ帰れるのか、働けず生活できない』と同様に心配しています」とグエンさん。
グエンさんはベトナムに妻と3歳の長男を残しており、「いつ会えるのかと思うとつらい」と話しました。
監理団体の男性は実習生が住む自治体に、政府からの10万円の給付金を実習生が受け取れるかどうか問い合わせましたが、「可能だと思うが、運用が決まっていないという答えだった」といいます。
トゥアンさんは「ベトナムの家族も心配している。早く帰れるようにしてほしいし、帰れないなら働けるようにしてほしい」と訴えました。