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2020年5月1日(金)

コロナ 通所自粛、ずっと自宅に

障害者・家族 生活一変

疲労困憊、長く続けば破綻も…

 新型コロナウイルス感染が拡大する中で、障害のある人と家族の生活は一変しました。ハイリスクといわれる障害者を自宅でケアする家族の苦悩は―。(岩井亜紀)


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(写真)週末に一時帰宅したときに、動画を楽しむ大澤鷹人さん=2月、堺市(大澤さん提供)

 「重い自閉症と知的障害がある息子は、マスクの扱いも手洗いもきちんとできません。新型コロナにり患すれば、ベッドに拘束されることになると思います」

 堺市の大澤三耶子さん(66)は語ります。

 コロナ感染拡大前まで息子の鷹人さん(32)はグループホームで暮らし、そこから作業所に通っていました。「作業所を休ませることに不安はありましたが、コロナり患の不安の方が強かった」

 言葉がなく、パニックになると自傷や他害にいたることがある鷹人さん。入院時に、ベッドに拘束された経験があります。

24時間の見守り

 自宅に戻った1週目の鷹人さんは、日常生活がガラリと変わり、「とってもテンションが高かった」と三耶子さん。2週目は機嫌が悪くなり、3週目は表情が乏しくなったといいます。「家でのんびり過ごすとはならない。本人は、なんで家にいなければいけないのか分からないなりにつらいんだと思います」

 いまは週2回、ヘルパーと1時間の散歩で気分転換しています。が、ときどき激しい自傷が出てしまいます。

 三耶子さんと夫(69)も疲労困憊(こんぱい)しています。水をたくさん飲みすぎる鷹人さんが、嘔吐(おうと)や意識障害などを引き起こす「水中毒」にならないよう24時間の見守りが必要だからです。

 三耶子さんは「息子がベッドに拘束されたときのことを思い出して頑張っています。とはいえ今後も長く続くようなら生活は破綻してしまう」と苦悩を浮かべます。

唯一の楽しみも

 重度心身障害者にとって新型コロナウイルスは脅威です。

 気管支が閉じてしまう気管軟化症の進行で人工呼吸器を装着する30歳の女性は、堺市の通所施設を週2回利用していました。緊急事態宣言の4月7日以降、施設側から「できるかぎり自宅待機を」と要請され、「唯一の楽しみも我慢せざるを得ない状態」です。

 週3回訪問入浴を利用。看護師とヘルパー3人がかかわります。母親(53)は「みなさん気をつけてくださっていますが、帰られた後毎回、ドアノブと床を消毒します。大変です」と話します。

 訪問で、自分でたんを出す訓練を週3回受けていました。訪問していたクリニックに感染者が出たため、訓練は取りやめに。「長期のお休みにならなければいいのだけれど…」と母親は不安を隠しません。

 ダウン症で先天性心疾患がある女性(31)もグループホームから自宅に戻り、作業所も休んでいます。自宅には要介護4の祖父母もおり、デイサービスなどへの通所を自粛。母親がマスクや消毒液などが不足する中で3人を介護しています。

 「毎日1人ずつ、機能訓練をかねて近所を散歩。晩には約2時間かけて入浴と、たくさんの支援をしています」と母親。「家族に感染者が出たらどうしたらいいのか。何もできない娘1人が残ったら、どこが支援してくれるのか。不安が募るばかりです」


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