2020年4月30日(木)
保健所悲鳴
土日なくぶっ通し 本当に人が欲しい
全国所長会会見
新型コロナウイルス感染症の拡大防止へ、地域の最前線で奮闘する保健所。長期にわたる過大な業務で疲弊しきっているとされます。現場の実情を知ってほしい―。全国保健所長会の内田勝彦会長らは、オンライン記者会見で深刻な現状を訴えました。
白井千香副会長・危機管理委員長が、全保健所を対象に行った緊急アンケート(3月25日~4月22日)結果を報告。55%の257保健所が回答しています。
保健所などで行っている「帰国者・接触者相談センター(24時間対応)」の業務について、「とくに中心的に対応した職種」は、8割が保健師でした。
センターの運営では「24時間対応(オンコール体制含めて)ですべて直営」が66%で最多。時間外勤務の処遇では、「代替休暇がある」は53%ですが、実質的には難しいとしています。
大阪・枚方市保健所長の白井副会長は「人口40万人の市で、感染症対策担当の保健師は5人。3交代はもちろん2交代もできません。土日も半日休めるかどうか。とにかくぶっ通しです」。
「保健所以外の他部署から職員の応援を得た」は複数回答で38%でした。
「いまは本当に人がほしい」と内田会長は訴えます。
新型コロナに対応する保健所の仕事は相談センター以外に多岐にわたります。帰国者・接触者外来への受診調整▽地方衛生研究所への検体搬送▽PCR検査受け付け▽市町村との情報共有や助言▽積極的疫学調査(クラスター対策含む)▽陽性患者が出た時に医療機関との連絡調整▽入院患者の病状把握―などです。すべて法に基づく感染症対策業務です。
国や都道府県への要望では、都道府県を超えた広域で発生状況などの情報を収集し、病床確保の仕組みを整えることや、人的支援を確保するための財政措置、医療に必要なさまざまな物資があげられました。
会見では、PCR検査について清古愛弓副会長(東京・葛飾区保健所長)が、区内でこれまで約500件の検査をして陽性者は約100人だったと紹介。「やればやるほど見つかる。検査後の受け皿の入院ベッドや宿泊施設の確保を同時に進めていかないと」と話しました。
内田会長は「保健所の現場は一様ではないが、共通する要望を迅速に国にあげていきたい」と語りました。
会見は25日に日本記者クラブ主催で開催されました。(西口友紀恵)