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2020年4月28日(火)

感染おびえる現場

防護服不足深刻 ポリ袋で手作り

国の責任で衛生用具確保急げ

 医療従事者が使う感染防護具のマスクやガウンが、新型コロナウイルス患者を受け入れている病院でも不足しています。マスクの使い回しや、ガウンをポリ袋で手作りしている病院もあり、医療従事者は院内感染におびえながら治療を続けています。(染矢ゆう子)


写真

(写真)ポリ袋で作ったガウン(日本共産党の松下三吾豊中市議撮影)

 神奈川県横須賀市の横須賀市立市民病院には、新型コロナウイルスに感染した患者が入院しています。患者を受け入れている感染症病棟では、4月から45リットルのポリ袋で作ったエプロンを使って看護師が看護しています。ポリ袋製のエプロンには袖がないので、雨がっぱを大量に発注し、組み合わせて使っています。

 4月16日には同病棟の看護師が新型コロナに感染しました。同病棟の看護師では2人目です。

 同病院事務部長の忽田(そうだ)晃さんは「そのほかに感染者はいなかったので防護具のせいとは断定できない」といいます。

1着の値段急騰

 ただ、看護には使い捨ての防護具が必須です。正規の防護具の備蓄は残り8700枚。2カ月で底を突きます。中国で生産されてきた防護具の供給は少しずつ再開しましたが、値段は急騰。1着が3000円と以前の10~20倍になっていると忽田さんはいいます。

 20分以上患者の相手をするときや夜勤のときは正規の防護具、短時間では代替品と使い分けています。「マスクや消毒用アルコールのジェルも必要な分が入らない。代わりのものを工夫して使っている」と忽田さんは現場の苦労を語りました。

 大阪府豊中市の市立豊中病院でもガウンの在庫がなくなり、手作りしています。1日300枚使うガウンは24日に1500枚ほどしか残っていなかったようです。

 同市の学校職員が1日約500枚を作製して応援しています。120リットルのポリ袋を熱処理工具で接着し、はさみでカット。作り方や型紙をホームページで公開しています。同病院の担当者は「物流が止まり、どの医療機関も困っていると思う。使ってもらえれば」と話します。

 新型コロナ患者を受け入れている大阪府内の公立病院では、これから防護具にポリ袋が使われ始めます。試しに着た同病院の看護師は「暑かった」と話します。別の看護師は「防護具がなかなか入ってこないとは聞いていたが、まさかポリ袋で作るとは思わなかった。コロナ病棟では自分が感染するんじゃないかと不安に思いながら勤務している。手作りでも前が開いていないこと、一人で脱ぎ着ができることに少し安心した」と話します。

個人が使い回し

 マスクも足りません。東京都内の感染症指定病院に勤務する医師はこれまで使い捨てていた高性能マスクのN95マスクを使い回しているといいます。

 日本看護協会は政府に対して、ガウンやゴーグルなどの防護関連用具を早急に確保するよう求めています(3月30日)。同協会の福井トシ子会長は22日、都内での記者会見で、防護具なしの検査指示や、マスクを使用できるスタッフ・枚数の限定などの実態を訴え、「防護具の不足で十分な感染防止策がとれない」と対策の必要性を強調しています。

 政府は医療用のサージカルマスクについて、緊急の必要性を医療機関から聞き取るシステムを今週前半に構築するとしています。在庫が1週間分より少ない場合に都道府県を介さず直接発送するといいますが、ガウンやフェイスシールドの同様のシステム構築は5月下旬になる予定です。

 日本共産党は「不足している医療用マスク、フェイスシールド、防護服、消毒液、人工呼吸器などを国がメーカーに要請して増産・調達するなど、国の責任で必要数を確保」するよう政府に緊急提案しています。


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