しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年4月27日(月)

生活困窮者支援

安全な住まい 行政の責任で

住居喪失者に「個室」を市民・団体が声あげる

 新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の暮らし、とりわけ、生活困窮者ら社会的弱者を直撃しています。7日の緊急事態宣言の発令(16日には対象地域を全国に拡大)と、その後の外出自粛や休業要請で、失業や収入減、住まいを失うなどの事態が広がっています。(青野圭)


写真

(写真)(左)稲葉さん (右)坂庭さん

 「住まいの貧困に取り組むネットワーク」は3月28日、緊急記者会見を開催。坂庭国晴、稲葉剛両世話人の連名で、大家や不動産業者らに、家賃滞納者への立ち退き要求をやめ、ともに公的支援の拡充を求める緊急アピールを発表しました。

 同アピールは「家賃滞納により住居を喪失した人は、ネットカフェ等の終夜営業の店舗に移ることが予測されますが、そういった施設は閉鎖的な空間であり、経済的困窮により体力が落ちた人々の間で感染症リスクが高まる可能性もあります」と訴えました。

相部屋のリスク

 この懸念はその後、より深刻な形で現実のものとなりました。

 都内でインターネットカフェなどを終夜利用する約4000人(東京都推計)の住居喪失者が都の休業要請(11日から)で行き場を失い、無料低額宿泊所などに案内される事例が多発したのです。

 同所は2段ベッドが置かれ、1室に複数人が同居する劣悪な環境で、「貧困ビジネス」施設とも呼ばれたもの。共同生活による高い感染リスクの懸念は早くから指摘され、生活困窮者の支援団体や日本共産党都議団が「安全が保てる個室の住まいを行政の責任で」と対応を求めていました。

党都議団も奮闘

 今月3日には、支援6団体が都に緊急要望書を提出。「相部屋の施設に入所することが常態化しており…一定の住環境を整えた上で生活を送ること」を求めました。

 都知事は6日、ネットカフェ難民が一時的に居住できる場の確保を表明しました。しかし一方で、都福祉保健局から各区市福祉事務所長への事務連絡(10日付)で、「一時居住先については、第一義的には保護施設や無料低額宿泊所の活用に」と指示していたのです。

 こうした事態を受けて、日本共産党都議団は16日、都の事務連絡を見直し、「無料低額宿泊所ではなく個室のホテルへつなぐことを基本」とすることなどを知事に申し入れました(1回目は8日)。翌17日、厚生労働省が自治体に「個室の利用」「当該者の健康状態等に応じて衛生管理体制が整った居所を案内する等の配慮」を求める事務連絡を出すと、都も同様の措置を取りました。

餓死事件を調査

 先の緊急記者会見では、昨年12月に東京・江東区のUR住宅で起きた、72歳と66歳の餓死事件を現地調査した結果も報告されました。稲葉さんは「そもそも貧困によって人が命を落とすようなことがあってはなりません。国が“住宅セーフティーネット”の一部と位置付けているUR住宅という公的な性格の住宅で起こったことの重要性」を強調しました。

 報告者の坂庭さんは「住んでいたのは維持管理良好でURでも極めて優良な団地でした。半年前までは働いており、滞納していた水道料金を払って3、4カ月後に亡くなった。感染で経済危機にある現状を考えると、こういった事態が多発しかねない今日的な課題」と語りました。

 当該自治体の江東区と水道局は“住民が行政の支援を必要とする場合に通報する”協定を結んでいましたが、この通報は2015年から19年までの4年間で26件、うち生活困窮者の通報は8件でした。問題の背景として、公的機関でありながら、家賃を3カ月滞納したら直ちに簡易裁判所に提訴・応じなければ強制執行で立ち退かせるという、URの姿勢を指摘。通報基準の明確化と人材要請、そのための財政支援、家賃減免制度の改善など打開策を示しました。


公的団地の取り組み(自治会役員の報告から)

写真

(写真)「朝、玄関にこれが張ってない方を訪ねます」。「涙マーク(旧高齢者マーク)」による安否確認を紹介する元都営光が丘自治会会長の小山謙一さん

 緊急記者会見では、4つの公的住宅団地の自治会役員が見守り活動について報告。自治会役員の高齢化の問題、国や県、自治体の役割の重要性が強調されました。

 ●見守り用のセンサーを導入したが、利用料が高い(足立区)

 ●毎月の災害対策安否確認訓練が元気を確認しあう場になっている。問題はこういう場にこられない方(神奈川県茅ケ崎市)

 ●高齢化が進み、半数近くが単身者。単身者が亡くなれば孤独死。民間業者の見守りサービス(ただし低料金)、地元自治体、新聞配達店、宅食業者などとの協定を広げるよう都公社に要望(東京都東久留米市)

 ●地域包括支援センターを軸に、都営、公団・UR住宅、公社住宅、分譲・賃貸、すべての自治会や管理組合と定期的な集まりをもつ(練馬区)


pageup