2020年4月24日(金)
コロナ対策 市民の声が政治動かす
新型コロナ対策の問題でも切実な現場や市民の声が、政治を動かしています。
安倍政権は20日、一度決めた補正予算案を組み替え、改めて閣議決定し、野党と国民が求めていた国民1人当たり10万円の現金給付を盛り込みました。安倍晋三首相は17日の記者会見で、10万円給付への方針転換について「国民からよせられたさまざまな声、与野党の声を踏まえた」とし、世論に押されたことを認めざるを得ませんでした。首相は、新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査についても検査センターの設置をはじめ、拡大する体制をつくると表明しました。
文芸評論家の斎藤美奈子さんは、10万円の現金給付について、「立案したのは野党だし、政策を変えさせたのは世論なの。党派を超えた私たち国民なの」「声をあげれば変わるのだ。さあ気を取りなおそう」(「東京」22日付)と発信しました。
広く国民に外出や営業の自粛を求めながら、死活問題となってくる損失の補償について背を向け、消費税減税を拒否する政府の姿勢に批判が強まっていました。世論調査で8割が「補償」を求め、政府のコロナ対応を「評価しない」とする声が急増。内閣支持率は軒並み不支持が優勢に転じ、与党内部に深刻な危機感が広がっていました。
フリーランス、労働組合、自営業者の諸団体が、休業補償や固定費の支援を求めて声をあげ、ライブハウスの経営者らが呼びかけたネット署名に瞬く間に35万の賛同が寄せられました。
日本医師会をはじめ、医療関係団体からは、PCR検査の拡大や医療支援の抜本的強化を求める声が強まりました。
全国知事会は、「『緊急事態宣言』を受けての緊急提言」(8日)で、国は「(イベントや事業活動の)中止・休止に伴う営業損失について補償するなど」の対策を求め、政府の対応の遅れの中で、自治体レベルでは休業要請とセットで現金給付の取り組みが広がりました。
こういう時「国難だから政権批判をするな」などの声も一部にありますが、切実な要求と道理にもとづく国民の世論が政治を動かしているのです。(若林明)