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2020年4月24日(金)

主張

政府のコロナ対策

これが世界一厚い支援なのか

 新型コロナウイルスの感染拡大に対する政府の緊急経済対策を安倍晋三首相らが「休業補償を行っている国は世界に例がなく、日本は最も手厚い支援」と自画自賛しています。しかし、コロナ対策の休業補償は各国ですでに行われており、日本が補償の考えに立っていないことが異例です。しかも、日本の支援は世界に例がないほど貧弱で遅いのが実態です。“世界一の支援”を本気でめざすなら、国民の声や野党の提案に耳を傾け、支援を抜本的に拡充すべきです。

各国がさまざまな補償

 ドイツの感染症予防法第56条は感染症のために仕事を禁止された人や休校で通学できなくなった子を持つ人に国が補償を行うことを明確に定めています。コロナ危機でもこの条項に基づいて補償が実施されています。経済的困難に陥った個人事業主、小規模企業には国から即時支援金が支給されます。従業員5人までの零細業者は9000ユーロ(約105万円)、従業員10人までの業者は1万5000ユーロを3カ月一括して受け取り、家賃やリース料の支払いなどに充てることができます。

 英国は、感染拡大の影響で収入が途絶えている民間企業、自営業者、フリーランス向けの支援策を3月中に決めました。月額2500ポンド(約33万円)を上限に所得の8割を政府が給付します。雇用を維持した企業には労働者の賃金の8割を負担します。支給は6月末まで続けられます。民間企業の申請初日の20日には14万社以上が申請しました。

 3月末に成立した米政府の経済対策は総額2兆2000億ドル(約240兆円)で、国内総生産(GDP)の約10%にあたります。おとな1人当たり最大1200ドル(約13万円)、子どもに500ドルの現金給付、雇用を維持する中小企業への支援3700億ドルが含まれています。

 このように各国政府は労働者、個人事業主、フリーランス、中小企業への継続的な補償や支援をいち早く実施しています。これに対して日本では収入が減った世帯の一部に30万円を1回だけ支給する政府の案が国民の批判を浴び、一律10万円の給付に転換せざるをえなくなりました。コロナ危機のさなかに政府が一度閣議決定した支援があまりに貧弱だったために補正予算案を大きく組み替えた主要国は他にありません。2020年度の当初予算にコロナ対策の費用を盛り込まなかったこともあり、対策の遅れはいっそう深刻なものとなりました。3月中にこれを上回る継続的な支援を決めて実行している国とは雲泥の差です。

 この期に及んで安倍政権はまだ休業補償を拒んでいます。1兆円規模の地方創生臨時交付金について政府は地方自治体の協力金に活用することを認めると言い出しましたが、本来国が補償すべきです。交付金を休業補償に充てるのであれば、それにふさわしい規模へ大幅に増額することが必要です。

生活と営業守る声さらに

 日本では政府がいったん決めた貧弱な補正予算案を世論の力で大幅に手直しさせたのも、世界で例のない画期的な動きです。もちろん1回だけ10万円の給付で終わらせるわけにはいきません。休業や自粛要請によって損失を受けた事業者、労働者の営業と生活を守るため、さらに声をあげましょう。


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