2020年4月23日(木)
世界食糧計画報告書
食糧危機の人が倍増
年末までに2億5000万人
国連の世界食糧計画(WFP)は21日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で失業者などが増え、十分な食糧を確保できない人の数が今年の末までに昨年と比べて倍増し2億5000万人以上に達するとの報告書を発表しました。(桑野白馬)
報告書によると、昨年、紛争、気候変動や経済危機が原因で十分な食糧を確保できなかった人はアフリカを中心に1億3500万人にのぼります。
ウイルスの感染拡大で各国が適用した外出制限措置などによる失業者の増加や労働時間の短縮で、十分な食糧を確保できない人が昨年比で倍増するとの見方を表明。「より多くの家族や地域をさらなる苦痛に陥れるだろう」と警告しました。
WFPのデービッド・ビーズリー事務局長は21日、国連安全保障理事会で「飢餓は現実的な懸念であり、危険な可能性だ」と強調。人道的な大惨事を避けるため「迅速に、賢明に行動する」よう国際社会に呼びかけました。
報告書は、特に東アフリカと南アジアの一部では干ばつやバッタの大量発生が既に深刻な食糧不足を引き起こしていると指摘。南スーダンでは昨年時点で人口の61%が食糧危機に直面していると紹介しました。
WFPのシニアエコノミストのアリフ・フセイン氏は「すでに飢えの危険にさらされており、日々の稼ぎだけで食べている大勢の人々にとって大打撃だ」と語りました。