2020年4月23日(木)
タクシー運転者の雇用守る
「規制緩和」転換を
自交総連委員長 高城正利さんに聞く
コロナ禍で需要が大きく落ち込んでいるタクシー業界で、自交総連はタクシー運転者の雇用と生活を守ろうと取り組んでいます。高城正利委員長に聞きました。(田代正則)
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東京都内のタクシー会社ロイヤルリムジングループがコロナ禍を口実に事業休止を打ち出しましたが、会社を存続させる一方で従業員に「退職合意書」にサインさせて解雇予告手当すら支払わずに自主退職に追い込もうとしています。社会への悪影響を広げかねず、放置できません。
自交総連・目黒自動車交通労組の組合員はサインを拒否して、雇用調整助成金を活用して雇用を守るよう要求しています。
ロイヤルリムジンの社長は、「休業するより、失業給付を受けた方がメリットがある」と言い訳しています。
しかし、日本共産党の高橋千鶴子、宮本徹両衆院議員が追及し、国土交通省がメリットは「正しくない」とする事務連絡をタクシー事業者に通知しました。私たちのたたかいを後押しするものです。
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雇調金活用を提案
自交総連は、業界あげて稼働する車両を減らして運転者1人あたりの売り上げを確保し、雇用調整助成金を活用して雇用を守ろうと提案しています。
新型コロナウイルスの影響で利用者が減り、運転者の賃金は激減しています。
タクシーの賃金は、大まかにいって売り上げの5割が手取り額です。感染拡大前は、平均的な1日の売り上げは5万円程度で、隔日12日勤務で手取り30万円でした。直近では1日1万5000円まで落ち込み、手取り9万円。これでは最低賃金を割り込むので、最賃保障をすると会社は持ち出しになります。
自交総連東京地連は3月26日、東京ハイヤータクシー協会に計画休車を要請しました。3月31日には国交省が、休車すると点検費用などを節約できる「期間限定特例休車」の適用を通知しました。浮いた諸経費と雇調金で、雇用を守ることができます。
タクシー大手・準大手を中心に、5割の休業措置をとる流れができています。休業補償を受けながら交代で勤務したり、感染リスクの高い高齢者を優先的に休業させたりするなどの方法が考えられます。
タクシー運転者は歩合給の割合が大きいため、雇調金でも労働者が生活できるよう助成してもらいたい。
ライドシェア阻止
安倍政権は違法な白タクを合法化する「ライドシェア」導入を狙っていますが、合法化をゆるせば、今回のようにタクシー業界全体で休車して供給量を調整するような対策も取れなくなります。
ライドシェアの運転者は個人請負で、事故やコロナ休業補償も、最賃など労働者保護もありません。ロンドンのウーバーでは、感染している可能性があっても収入減を恐れて報告せず働く人も多数いるといわれています。
公共交通と労働者の雇用と生活を守るためにもライドシェア導入に反対していきます。
2000年の道路運送法改悪(02年施行)によって、新規参入や増車が「自由化」されて「供給過剰」になりました。ロイヤルリムジンはこの時期に新規参入した企業のひとつです。増えすぎたタクシーを減車していくのに、非常に苦労しています。コロナ問題を機に、規制緩和路線から転換すべきです。