2020年4月23日(木)
上から家庭学習指示
休校で文科省 現場から懸念の声
新型コロナウイルス感染症による臨時休校にかかわり、文部科学省は21日、休校中に学校が「最低限取り組むべき事項」を都道府県教育委員会などに通知しました。都道府県ごとに28日までに取り組み状況を報告するよう要求。家庭や教師を細かく拘束する内容に現場から懸念の声が上がります。
通知は、感染が急拡大している特定警戒都道府県も含めた全地域が対象。学校に対し、教科ごとに、指導計画を踏まえ、教科書や「学習計画表」を使って家庭学習を課すよう求めています。電話などで学習状況を随時把握することや、インターネットなど「ICTの最大限の活用」も求めています。
また、休校で児童虐待の危険の高まりが指摘されるなか、子どもの心身の状況を定期的に把握するよう要求。その際、電話などで子ども本人と直接会話することを求めています。
通知について、全日本教職員組合の宮下直樹副委員長は、学びの保障は重要であり、学校の実態を踏まえて取り組む必要があるとしたうえで「地域ごとに状況が異なるなか、機械的に上から押し付けるものになっている」と批判。ICTの活用についても、ICT環境が整っていない自治体や家庭が多いことや、子どもの発達への影響など、多くの課題があるといいます。
宮下さんは、休校で虐待の実態が見えにくくなっており心身の状況把握は急務だと強調。学校と児童相談所などの関係機関の連携した取り組みが必要だと語ります。
一方、通知が2週間に1回などと状況把握の期間まで細かく定め、教員が「出勤しているか在宅勤務であるかを問わず」取り組むよう求めていることには、「個人責任にせず、学校全体で共有し関係機関と協力して取り組むことが重要だ」と語ります。