2020年4月20日(月)
自衛隊中東派兵の活動拠点
ジブチ基地 PCR検査体制なし
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中東派兵の拠点であるアフリカ東部ジブチの自衛隊基地に、新型コロナウイルスの感染を判定するPCR検査体制が整備されていないことが防衛省への取材で分かりました。
現在、ジブチには(1)2009年から継続している海賊対処部隊(2)今年1月から「情報収集活動」と称して派兵した部隊―の合わせて約560人が駐留。護衛艦2隻、P3C哨戒機2機が活動しています。
このうち、今年2月に派兵した海自護衛艦「たかなみ」艦内に検査体制が整備されていないことが、3日の衆院外務委員会での日本共産党の穀田恵二議員の質問で明らかになるなど、中東派兵部隊の感染リスクへの備えが不十分であることが浮き彫りになりました。
防衛省は、ジブチの自衛隊活動拠点でのPCR検査について「実施できる体制にはない」と本紙に回答。今後の検査体制の整備については、「他国軍の医療設備の使用及び日本からの検査キットの送付を調整中」としており、現状では他国軍頼みです。
世界保健機関(WHO)によると、ジブチ国内の新型コロナ感染者数は732人で死者は2人(18日現在)。感染拡大を受けジブチ政府は3月末、全ての国際線の発着を停止しています。
解説
自衛隊は中東から撤退し新型コロナ対応に全力を
安倍政権が中東派兵命令を強行し、P3C部隊が出発したのは1月11日、現地での活動開始が同20日。「たかなみ」の出港は2月2日でした。新型コロナの世界的な流行が懸念されるなか、検査体制がないまま自衛隊を中東に派兵した政府の責任は重大です。
米軍やフランス軍の空母で新型コロナの感染爆発が起こり、壊滅的な打撃を受けているように、特に狭い艦内で多くの乗組員が活動する艦船にとって感染症は大きな脅威です。
日本共産党の穀田恵二議員も3日の衆院外務委員会で、1981年に護衛艦「ゆうだち」が2週間で乗員250人の8割がインフルエンザに感染する事態が起きた事例を紹介。「この教訓をどう生かしているのか」と追及しました。
中東派兵部隊のうち、P3C哨戒機部隊は、4月末にも次の部隊と交代を予定しています。河野太郎防衛相は14日の記者会見で「現時点ではこのままP3Cを入れ替えて行動を続けていく方針」と述べましたが、3日の衆院安保委員会では、ジブチからの撤収の可能性も示唆しています。
自衛隊は日本国内で輸送支援や軽症者の支援など新型コロナ対応に尽力しています。中東派兵をやめ、こうした活動にこそ全力をあげるべきときです。(柳沢哲哉)