2020年4月18日(土)
最賃引き上げ凍結迫る
コロナ拡大で日商など要望
労働組合が批判
日本商工会議所など中小企業3団体は16日、コロナ感染拡大の影響を理由に、最低賃金の引き上げについて「凍結も視野に水準を決定すべきだ」とする要望を発表しました。
「中小企業・小規模事業者の窮状を下支えすることが急務であり、最低賃金を大幅に引き上げることは、窮状に拍車をかける」と指摘。「より早期に全国平均で1000円をめざす」という政府方針を見直す▽凍結も視野に納得できる水準を設定する―などを求めています。
生活守るため引き上げ切実
全労連
これに対し、全労連の黒澤幸一事務局次長は「コロナ問題で被害を一番受けているのが非正規雇用労働者であり、生活を守るためにも引き上げはいっそう求められます」と指摘。「これまで最賃の地域間格差が広がり、都市部への人口や企業流出などが地域経済の疲弊をもたらしています。地域経済を立て直すうえでも格差是正は切実な課題です。中小企業支援と一体で1500円に引き上げるとともに、全国一律の制度にするべきです」と話します。
「リーマン・ショック時に日本では解雇や賃金抑制を行い、深刻な消費不況を招きました。賃金抑制で危機を乗り切るのではなく、労働者の生活をよくすることで、企業の経営も経済も立て直す道に踏み出すべきです」
短期でやめる話ではない
連合会長
連合の神津里季生会長は16日の記者会見で、日商の要望について、緊急事態宣言などの効果が分からない段階で「時期尚早だ」と批判。「最低賃金は何でこんなに低いのか。経済危機で短期的に(引き上げを)やめましょうという性格の話とは違う」と述べました。