2020年4月17日(金)
雇用調整助成金すぐに
3週間たっても受理もされず
新型コロナ イベント業者苦境
“今月の給料払えず、つぶれる”
新型コロナウイルスで打撃を受けている中小業者にとって、従業員に支払う休業手当を国が補助する「雇用調整助成金」は雇用を守る命綱です。しかし、「申請手続きが難しい」「支給まで時間がかかりすぎる」という声が相次いでいます。「このままでは今月の給料が払えず、つぶれる。直ちに支給を」と業者らは訴えています。(青柳克郎)
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「3人の従業員に給料を支払うため、雇用調整助成金をあてにしていた。しかし、申請手続きを始めて3週間になるが、何度も追加の書類を求められ、いまだに受理されたのかどうかすら分からない。4月の給料を工面できなければ、廃業も考えざるをえない」
各種イベントの会場設営や音響・照明機器のレンタル業を営む東京都内の男性(58)が途方に暮れます。
20件キャンセル
ももいろクローバーZや乃木坂46といった有名タレントが出演する、数千人規模のイベントを手掛けてきました。例年、春はイベントが目白押しですが、今年は3月以降、20件のキャンセルが発生。600万円の売り上げを失っています。
雇調金は、休業手当の最大10分の9まで国が補助。男性は3月分の賃金支払いで運転資金が尽きかけており、一日も早い支給を求めます。しかし、休業計画届に10種類以上の書類が必要で、月ごとの総勘定元帳や労働者との休業協定、つくっていない会社案内が求められるなどハードルが高く、なかなか審査にもたどりつきません。
男性は地域の民主商工会の協力を得て先週、3度目の追加書類を提出。民商の事務局員は「窓口の職員によっても言うことが違い、混乱が生じています。3~4回、書類を出し直すのはざらです」と話します。
男性がいいます。
「受理されても、支給がいつになるのか全く分からない。今月の賃金支払いには間に合わず、緊急融資などを考えています。使いやすい助成金制度や休業補償など支援を急いでほしい。コロナ収束までつぶれずにいれば、また働け、税金も納められるのですから」
民商が相談窓口
厚生労働省によると雇用調整助成金の相談は4万7000件、計画届提出は2859件にのぼる一方、支給決定はわずか2件(3日時点)。政府は業者らの声に押されて10日、休業計画届の事後提出や必要な書類を半減するなどして、支給までにかかる期間を1カ月程度に短縮する方針を打ち出しました。
各地の民商では相談窓口を設け、雇用調整助成金や緊急融資など、あらゆる制度を活用して営業と雇用を守ろうとしています。
東京・板橋民商の古山寿樹事務局長(57)は「『もう従業員を解雇するしかない』という悲鳴のような声があがっています」と語りこう強調します。
「どうすれば雇用を維持できるか、ぜひ相談してほしい。そして、雇用調整助成金制度のさらなる改善や休業補償、固定費補助などの実現を求め、行政への要請など、さらに取り組みを強めたい」