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2020年4月16日(木)

感染 紙一重

看護現場 支援急務

マスク1週間に1枚だけ 発熱外来の設置場所なし 透析専門病院に発熱患者

 新型コロナウイルスの感染は、医師や看護師など医療従事者まで広がっています。感染拡大に医療体制の強化が求められています。派遣看護師として、首都圏の病院で働くAさん(50代)。Aさんの体験と、仲間の看護師らから聞いた、医療現場は…。(遠藤寿人)


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(写真)新型コロナウイルスへの対応についての張り紙=東京都内(画像の一部を加工しています)

 どこの病院でも、マスクとアルコール消毒液の品薄が続き危機的です。「看護師にマスク50枚入り1箱を配り、3カ月もたせるよう指示。とてもマスクが派遣の看護師の所まで回ってこない」(都内病院)といいます。

 「(ウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)の侵入を防ぐ高性能マスク)N95も配給が厳しく使い捨て禁止に」(千葉の公立病院)、「患者1人1枚から1日1枚に、今は1週間1枚でマスクの中に入れるガーゼを取り換え使っている」(千葉の病院)、「使い捨てマスクを3日間、使いなさいとお達し。仕事が終わったらビニール袋に入れて次の勤務でも使う」(千葉の病院)。エプロンも足りずゴミ袋で対応している所も。

 いま求められているのはコロナ対応の外来診療の強化です。通常の患者とは別のスペースに発熱外来の設置が必要です。Aさんは「一般の病院で入り口を別にするなど、適切な対応ができなければ、院内にウイルスが持ち込まれ、クラスター(小規模な患者集団)が発生し院内感染が爆発する」と警戒。「医療現場は物資不足、場所不足など、状況はますます悪化すると思います。医療崩壊を乗り切るために力を合わせなければ」と訴えます。

 Aさんは新型コロナによる規模縮小で派遣の仕事を突然カットされました。補てんはありません。長引けば生活が立ち行かなくなります。「補償が大切です」と力を込めます。

 Aさんが東京や千葉で状況を聞いた看護師(50代前後)らの話。

・都内の総合病院の看護師

 発熱外来を設置。陰圧室(室内の空気や細菌が外部に流出しないように、気圧を低くしてある病室)が無く、一般の個室だけ。入院患者のほとんどが高齢者。陽性患者が出たらあっという間に広がると思う。専門家は、病院の外にテントを建て、そのなかでPCR検査の実施を推奨しますが、そんなスペース(場所)はない

・千葉県の総合病院の看護師

 近隣の公立病院のベッドが埋まり、受け入れ要請がきた。陰圧室はなく人工呼吸器は2台だけ。設備上重症患者を受け入れるのは厳しい。発熱外来の設置場所にも苦慮。裏口近くの部屋を確保したが、真上に院内保育園とデイサービスがあり、リスクが高く断念。駐車場にテントを設営するも、住民から抗議を受け設営できず

・都内の内科を併設する腎クリニックの看護師

 近くの大学病院が外来を閉鎖したため、発熱のある患者が流れて来る。院内は透析患者がほとんど。ハイリスクなので近づいてほしくない。短時間で院内感染する。院内感染も気がかりだが透析患者の命をつないでいるので閉院はできない

・千葉の訪問介護士

 訪問している老人が濃厚接触者に。それでも毎日ケアをしに行かなければ、1人で食事も排せつもできない。自分がうつる恐怖もあるが、それ以上に自分がうつして死なせてしまったらどうしようという恐怖の方が大きい


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