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2020年4月16日(木)

コロナ 奮闘する医療労働者

命守る人員と病床確保を

日本医労連委員長 森田しのぶさんに聞く

 全国の医療現場で新型コロナウイルスから国民の命と健康を守る奮闘が続いています。日本医労連の森田しのぶ委員長に医療現場の実態と取り組みについて聞きました。(笹島みどり)


写真

(写真)医療崩壊を防ぐよう訴える医労連の森田委員長(右から3人目)=7日、厚労省

 医療労働者は、慢性的な人員不足や過重労働のなかで、感染防止に向かい合いながら医療提供に全力で奮闘しています。家族の協力も得ながら、患者さんのいのちと健康を守るために頑張っている姿には頭が下がる思いです。多くの人々から感謝と励ましをいただいていることは心強い限りです。

 政府は、「医療崩壊を防ぐ」というのなら、こうした医療現場の昼夜を分かたぬ奮闘に応える真剣で大胆な支援をすべきです。

業務は困難に

 私たちが行った実態調査では今でも「マスクは1人1枚の供給が間に合わない。防護服・消毒液も不足している」との声が圧倒的です。

 介護・福祉施設も含めて、マスクや消毒液などの衛生材料が行きわたるよう早急な手だてをとるべきです。

 実態調査では「陽性患者を受け入れた病院に応援スタッフを1週間交代で送った。戻ったスタッフは2週間の自宅待機が必要で、各施設で業務が困難になり、休みたくても休めない」との訴えも寄せられました。

 国は、ウイルス流出を防ぐ陰圧室の確保や人工呼吸器の設備など感染症対応を要請していますが、必要となるスタッフ(医師・看護師など)の確保や財政的な補償は不明なままです。

 「感染症患者を受け入れ、実質的に診療縮小・休診になっている医療機関への財政支援も示されていない」と訴えが相次いでいます。不足している病床・医療機器・マンパワー確保に向けた大胆な財政支援を求めます。

 また、PCR検査を抜本的に拡大し、患者のトリアージ(治療の優先度決定)を徹底して、感染防止と診療にあたるべきです。現場まかせにしないで国が責任をもって取り組むべきです。

 感染防止の観点からも、自粛要請に見合う補償の大幅な拡大に踏み切ることが、国民生活を守り感染拡大を押しとどめるためにも不可欠です。

統廃合やめて

 安倍政権は、この期に及んでも公的・公立病院の統廃合方針を撤回する考えはありません。むしろ、すすめると言っています。

 感染症病棟の6割が公立病院です。直ちに凍結し、必死に頑張っている医療現場を応援するというメッセージを発するべきです。

 保健所の半減や病床削減、医師・看護師抑制など公衆衛生行政と医療提供体制の縮小再編政策の誤りが、いま現場にはかり知れない困難をもたらしている最大の元凶です。

 国立病院では、かつては結核病棟が多くありましたが、不採算部門だとして次々に病床が閉鎖され、感染症に対する対応が後退させられてきました。

 私は京都の日赤病院で結核病棟に勤務したことがありますが、感染症対応は日ごろから研修と経験を積んでいないとできません。余裕ある病床と人員体制の確保こそ必要だということが浮き彫りになっています。医療提供体制の縮小再編や公立・公的病院の統廃合、医師・看護師の人員抑制などを根本から改めるよう強く求めます。

 安全・安心に働き続けられる医療職場を確立することが、国民の命を守り、感染拡大を防止する力だと訴えて、人員体制の確保や長時間夜勤の削減などを求めてきました。

 医療・社会保障の切り捨てに反対し、医療・介護・福祉労働者の処遇改善と、だれもが安心してかかれる医療社会保障の充実を求める運動を進めてきました。その力をいまこそ発揮したい。


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