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2020年4月15日(水)

展示会産業つぶれる

コロナ拡大 イベント中止・延期次々

関連中小零細 援助待ったなし

 東京ビッグサイト(東京都江東区)など大型展示場での展示会が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止・延期になる事態が相次いでいます。展示に関係する企業、業界から悲鳴があがっています。(芦川章子)


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(写真)閑散とした東京ビッグサイト=9日、東京都江東区

 展示会の装飾やブースデザインなどを手掛ける東京造形美術社の石森隆太郎社長(49)は「大げさでなく壊滅的な状況。一つの業界をつぶすほどの勢いです」と語ります。

五輪でも制限

 創業57年、従業員は27人です。3月の売り上げは前年同月比で90%減。4~5月も同様の見通しです。下請けには多くの職人がいます。「この業界は中小、零細企業がほとんど。このままでは数万、数十万人の雇用が失われるかもしれない」

 東京ビッグサイトで開催される見本市に出展する国内企業は年間10万社以上です。ただ東京ビッグサイトは新型コロナの感染拡大の前から、すでに20カ月間、利用が制限されています。東京五輪・パラリンピックのプレスセンターとして利用が予定されていたからです。

 日本展示会協会によると、五輪の1年間延期による利用制限の延長で、さらに5万社が売り上げで約1・5兆円の損失を被ると試算しています。累計で13万社、約4兆円にも上ります。

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(写真)東京五輪のプレスセンターが予定されている東京ビッグサイト=東京都江東区

 石森さんはこの制限も「民主的プロセスがまったくなかった」といいます。「あの時も『乱暴だ』と業界団体で声を上げましたが、聞き入れてもらえませんでした。忸怩(じくじ)たる思いでしたが、何とか乗り切り利用再開となる今年12月から頑張ろうと思っていた矢先に…」

 新型コロナウイルスによって、頼みの綱だった海外企業からの発注もすべて流れました。

支援があれば

 従業員には家族もいます。「誰一人、路頭に迷わせるわけにはいかない」と解雇はせず、給与も全額支給する予定です。

 地元の信用金庫などからの融資が頼りですが「当然返さなければいけない。先進諸外国の手厚い補償と比べると、日本の政府は言うことがコロコロ変わり、一体どうなるんだと。もっと支援があれば、多くの企業が踏ん張れる」

 現在、国が新型コロナ対策として打ち出した支援策は「手続きがあまりにも煩雑で時間もかかる。待ったなしの資金援助が必要です」として国へ早急な損失補償を求めています。

 日本展示会協会の田中五十一事務局長は「広報資金が潤沢にある大企業と違い、中小企業はいい製品、いいサービスを持っていても広報資金が少ない。展示会が取引先とつながる効率的な場であり、展示会を奪われることは死活問題です。経営難や倒産が予想され、日本経済にも大きな損失をもたらします」と話します。

 同協会は、都や経済産業省に対し要望書を提出しました。東京ビッグサイトを予定通り使用できるよう要求。不可能な場合、仮設展示場の建設、代替施設の調整、募集を開始している展示会への支援などを求めています。


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