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2020年4月10日(金)

主張

コロナ危機と雇用

解雇防ぎ労働者守る対策急げ

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済危機で解雇、雇い止めにあった人は、厚生労働省による3月末までのまとめだけで1000人を超えています。緊急事態宣言の発令後、自動車大手各社が従業員の一時帰休を打ち出すなど雇用情勢がさらに深刻化しています。政府は大企業などのリストラ解雇を防ぎ、雇用を維持する万全の対策をとらなければなりません。

補償を拒む姿勢が障害に

 コロナ危機によって企業の経営が悪化しても労働者の責任ではありません。会社の都合による整理解雇なので「整理解雇の4要件」((1)人員整理の必要性(2)解雇回避の努力(3)選定の合理性(4)事前の説明・協議)に照らして解雇の妥当性が厳しく問われます。派遣元の企業には、新たな派遣先の提供などで雇い止めを防ぐことが求められます。新規学校卒業者の採用内定取り消しは解雇と同じです。政府は、4要件を満たさない内定取り消しは認められないという明確なメッセージを早急に打ち出す必要があります。

 雇用維持という点で政府の緊急経済対策は極めて不十分です。さまざまな経済活動に自粛を求めながら補償を拒む安倍晋三政権の姿勢がここでも障害になっています。直接、間接を問わず自粛要請による減収減益に補償の措置をとることは雇用を守る上でも決定的に重要です。政府は雇用調整助成金について解雇を回避した場合の助成率を中小企業で10分の9としていますが、10分の10へ引き上げるのは当然です。

 資本金10億円以上の大企業の内部留保は460兆円を超え過去最高です。大企業はコロナ危機の前まで軒並み最高の利益をあげながら賃上げを抑制し、経済の先行き不透明感を理由に巨額の内部留保をため込んできました。経済危機だからといって、雇用を維持する努力もせずに労働者を解雇することは正当化できません。政府は大企業に雇用責任を果たすよう求め、経営支援の公的な貸し付けの際は雇用の維持を要件にすべきです。自粛要請に協力してもらうためにも雇用の安定は不可欠です。

 2008年の世界経済危機、リーマン・ショックのときは、経営支援のため特別の融資を受けた大企業による解雇リストラが横行し批判を浴びました。自動車、電機など製造業大手を中心に労働者派遣契約の打ち切り、派遣労働者の雇い止めも大量に発生し、「派遣切り」として社会問題になりました。その再現は許されません。

 非正規雇用の労働者が雇い止めとともに会社の寮から退去させられる事態が起きています。コロナ危機のさなかに職と住居を一度に奪うなど言語道断です。対策には一刻の猶予もありません。リーマン・ショックの際は離職者住居支援給付金が時限措置で設けられました。離職しても現住所のまま再就職活動ができるよう制度の復活が求められます。

切り捨ては許されない

 政府や財界・大企業は非正規雇用や、フリーランスなど「雇用によらない働き方」を拡大してきました。非正規は雇用労働者の4割近くにのぼり、フリーランスを本業とする人も200万人超と推計されます。正社員同様、この人たちが切り捨てられないよう政府は対策を講じ、大企業は雇用の維持に社会的責任を果たすべきです。


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