2020年4月8日(水)
主張
政府の経済対策
暮らしの危機に対応してない
安倍晋三政権が新型コロナウイルスの感染者の急増を受けた緊急事態宣言の発令に合わせ、緊急経済対策と2020年度補正予算案を決定しました。首相は世界的に見ても「最大級」だと総額108兆円の事業規模の大きさを強調しますが、その中身は苦境に陥っている国民を支えるには、極めて不十分です。緊急事態宣言で国民にさらなる自粛と行動制限を求めるというのに、それに伴う国民の収入減と損失を補償する立場が全くありません。感染拡大防止の実効性を確保するために、「自粛と一体で補償」するということを基本方針にすべきです。
自粛要請と一体で補償を
緊急事態宣言の発令で、7都府県知事は、外出の自粛やイベント中止の要請、医療施設開設のための土地・家屋の使用など私権を一定制限する措置が可能になります。暮らしと経済活動に及ぼす影響は重大であり、政府の経済対策は、それに見合った内容でなければ感染防止は進みません。
緊急対策で何より問題なのは、自粛要請で収入が途絶えた事業者・個人を補償するという基本的な考え方が抜け落ちていることです。憲法29条は私有財産を「公共」のために用いるには、「正当な補償」をすると定めています。感染拡大を防ぐという公共の目的のために起きる損失を補償しないというのは、憲法上も大問題です。
緊急経済対策の「1世帯30万円」という給付金も国民の切実な要求からはかけ離れたものです。政府の対策では、月収が半分以下になった世帯などと対象を狭めています。国民の不公平感も広がります。
日本共産党は「1人10万円」の現金給付を求めています。政府のように給付の対象者を線引きする理由はありません。一刻も早く国民に届けることが必要です。高額所得者にはあとで課税すればいいとも提案しています。自粛で直接・間接に影響を受ける労働者や中小事業者、フリーランスなどには新型コロナ感染の収束まで毎月補償することです。1回の現金給付で終わらせてはなりません。
新型コロナの感染拡大ですでに、売り上げや宿泊・観光客が落ち込んだ中小商店や旅館・ホテルなどの倒産や廃業が相次いでいます。民間の調査機関・帝国データバンクの調査でも、4月初めの時点で約40社が倒産しました。総務省の2月の家計調査でも実質消費支出は、5カ月連続で前年同月比を下回りました。部品などの供給が滞り、自動車などの大企業で操業停止や操業短縮が行われ、非正規労働者の解雇や採用内定取り消しなども相次いでいます。自営業者やイベント中止で出演の機会を奪われた人たちの打撃は深刻です。
緊急事態宣言が、冷え込んでいる経済をいっそう沈下させることは避けられません。暮らしの先行きに不安を抱える国民に安心と希望を与えるために、政府は従来やったことのない対策に踏み切るべきです。
消費税5%への決断こそ
日本経済は、新型コロナの感染拡大の前から、14年4月と昨年10月の2回の消費税増税によって、長期で深刻な消費不況に落ち込んでいました。コロナ収束の時期に消費を喚起し、日本経済を立て直すには、一時的でない経済対策として、消費税の5%への減税を真剣に検討すべきです。