2020年3月31日(火)
高年法 働く貧困層の温床に
参院厚労委 水野参考人が警告
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参院厚生労働委員会は30日、65歳以上の労働者のフリーランス化を促す高年齢者雇用安定法(高年法)等改定案についての参考人質疑を行いました。
同法案は、65~70歳の人への「就業確保」を企業の努力義務とするもの。その方法として、定年延長や継続雇用に加えて、業務委託契約など雇用によらない働き方も可能としています。
意見陳述した日本労働弁護団の水野英樹幹事長は、雇用によらない働き方では労働基準法や最低賃金法の保護を受けられないと指摘。企業側が成果型報酬を採用する例が多数見込まれる一方、経費負担に関する規制はなく、「働いても成果がなければ報酬ゼロ、経費負担だけが残る。ワーキングプアの温床になりかねない」と警告しました。
また、労災制度の対象外で、解約・解雇に関する規制もないと指摘。「雇用とは異質の『就業』なる働き方への転換を正面から認めるものだ。年齢を問わず転換を認める一歩となりかねない」「雇用とは異なる措置を選択肢として設けることには反対だ」と述べました。
連合の石田昭浩副事務局長も「事業主の責任を回避するために委託契約に変更するようなことはあってはならない」と指摘しました。
日本共産党の倉林明子議員は、継続雇用の場合でも、「他の事業主」による雇用も可能とされていると指摘。「派遣会社が雇用して元の企業に派遣する形も可能となり、(雇用の安定をうたう)法の趣旨に反するのではないか」と質問。水野氏は「それは制度の乱用だ」と答えました。