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2020年3月31日(火)

主張

同一労働同一賃金

均等待遇実現へ職場から声を

 「働き方改革」一括法で、正社員と非正規雇用労働者との「不合理な待遇差」を禁止する法律が1日に施行されます(中小企業は2021年4月1日から)。格差を容認する問題がある一方、待遇の改善につなげられる条項が含まれています。「同一労働同一賃金」「均等待遇」の実現に向けて職場から運動を強めましょう。

非正規理由の差別を禁止

 政府統計によると、非正規労働者の平均賃金は正社員の6割程度です。また、正社員とパート労働者の両方を雇用している事業所に対する厚生労働省の調査(16年)では、正社員に賞与を支給している事業所は84・6%でしたが、パートに賞与を支給している事業所は33・7%、定期昇給については正社員に実施している事業所71・8%、パートに実施は32・3%と大きな格差があります。非正規という理由で差別することは許されません。

 1日に施行されるのは「働き方改革」一括法のうちパートタイム・有期雇用労働法や改定派遣労働法です。非正規労働者について(1)不合理な待遇差の禁止(2)待遇差に関する説明義務(3)行政による事業主への助言、指導や裁判をせずに労使紛争を解決する手続きの整備―を実行しなければなりません。

 今回施行される法律では正規と非正規の待遇に「不合理と認められる相違を設けてはならない」としています。施行に際して厚労省は指針を作成しました。基本給は、能力または経験、業績または成果、勤続年数の要素に基づいて「同一であれば同一の支給」としています。能力や成果の評価が公正に行われる必要があります。

 賞与は「貢献度」を基準にしていて、それが同じなら正規、非正規とも同じ支給をしなければなりません。貢献度を恣意(しい)的に評価させず、不当な格差を許さないようにする必要があります。通勤手当や残業代など各種手当、福利厚生は同一の支給、利用が求められます。

 賃金については格差を容認しています。「不合理」の判断基準にはあいまいなものがあり、不合理か否かは最終的には司法の判断に委ねられます。男女の格差を是正する視点はありません。違反企業への罰則はありません。不合理と思われる待遇があれば事業主に説明を求め、是正させましょう。説明を求めた労働者に事業主が不利益な扱いをすることは禁止されています。労働組合が団体交渉によって法律を上回る均等待遇を実現させるたたかいが必要です。

 18年6月に制定された「働き方改革」一括法は過労死を促進する残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)を導入し、過労死ラインの残業時間を合法化しました。財界が求めた「労働生産性の向上」が法の目的に明記され、野党、労働組合が反対する中、国会で成立が強行されました。ただ、その中でも労働者のたたかいによって、不十分ながら非正規労働者の「不合理な待遇の禁止」が盛り込まれました。

抜け穴許さない運動こそ

 今回の法施行を機に、格差の「抜け穴」を許さない運動を強めましょう。さらに雇用形態や性別などに基づくすべての差別を禁止し、同一労働同一賃金、均等待遇の実現につながる法の制定が求められます。


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