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2020年3月30日(月)

主張

事業者・個人の支援

損失補てんの実行こそ土台に

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、政府や地方自治体が行う休校や外出・イベント自粛などの要請が深刻な影響を広げています。事業を営むことができず生活困窮に陥る人が増えています。多大な損失を国が強力に補てんすることを大原則にしなければ、自粛要請への協力をためらわざるをえません。苦境にある事業者、個人への思い切った支援とセットで行ってこそ感染拡大を防止する対策は実効あるものとなります。

「フリー」推進した政権

 自粛要請の強まりで、飲食、観光・宿泊、運輸など多くの中小業者、小規模事業者が存亡の危機に追い込まれています。収益を得られないうえに経費の支払いを迫られています。休演せざるをえなかった芸能分野もきわめて厳しく、日本文化の存続が危ぶまれています。関係するフリーランスは無収入になっています。事業者、個人への支援について、安倍晋三首相は28日の記者会見で、無利子融資の拡大のほか、「新しい給付金制度を用意する」と表明しました。問題は規模と内容です。しかも首相は、損失補てんについて「税金で補償できない」という立場を変えていません。これでは国民の暮らしの危機を打開する力になりません。

 フリーランスへの冷たい対応はただちに改めるべきです。労働者を対象とした雇用調整助成金による支援の上限8330円の半分、1日当たり4100円の支援では、先が見えません。休校した小学校に通う子を持つ人しか対象にしないやり方は、あまりに狭すぎます。

 フリーランスは雇用関係によらずに企業や発注者と契約し、個別の仕事のために働く人です。受け取るのは賃金ではなく個々の仕事への報酬です。労働法制の対象外とされ、労働時間、最低賃金など労働者なら当然の権利を保障されていません。仕事がなくなれば、ただちに職を失います。

 もともとフリーランスの働き方を「成長戦略」で促進してきたのは安倍政権です。「われわれが推奨してきたということではない」(23日の参院予算委員会での答弁)とする首相の姿勢は無責任です。2016年6月に閣議決定した「日本再興戦略2016」では、フリーランスなど「柔軟な働き方」を中心的な政策の一つに位置づけました。経団連が「多様かつ柔軟な働き方」を提言したのを受けたものです。

 安倍首相が議長を務める政府の未来投資会議は昨年12月にまとめた、新成長戦略に向けた中間報告でフリーランス促進の環境整備を明記しました。財界の意のままにフリーランスを推進しながら、その人たちが困っているときに直接支援に背を向けてはなりません。

抜け落ちる人を出さない

 フリーランスや雇用保険未加入の非正規労働者にも正規雇用の労働者と同程度の水準の所得補償を行うことが必要です。事業者には無担保・無利子融資の拡充のほか税・社会保険料の減免や、事業の存続に必要な固定費への直接助成に踏み出し、イベント中止にともなう必要経費の補てんも万全に行うべきです。政府、自治体の自粛要請で苦境にある事業者、個人への支援から抜け落ちる人を出してはなりません。これは政治の責任です。


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