2020年3月27日(金)
英、自営業所得保障へ
フリーランスにも 野党・労組訴え実現
【ベルリン=伊藤寿庸】ジョンソン英首相は25日の下院審議で、自営・フリーランスに対しても所得保障に踏み出す意向を示しました。英政府はすでにコロナウイルスに伴う経済支援策の一環として、企業が労働者の雇用を維持すれば、賃金の8割を政府が負担すると発表していましたが、これを約500万人の自営・フリーランスに広げるもの。
ジョンソン氏は、賃金労働者と「均等な支援」を自営・フリーランスにも行うと表明。「すべての人が必要な支援を受けられるような支援策を提案する」と述べました。
英政府は20日、コロナウイルス感染防止策として大規模な閉店措置を発表するとともに、雇用を継続した労働者の賃金の8割、月額上限2500ポンド(約32万5000円)を政府が負担すると発表。野党や労組などは自営・フリーランスなどへも支援を広げるべきだと強く求めていました。英紙ガーディアンは、直近の所得を基準に8割を政府が支給するが、上限は2500ポンドより低く設定される予定だと報じました。
この日の審議でコフィ雇用年金相は、さまざまな福祉手当を統合した低所得者向け給付制度「ユニバーサル・クレジット」(平均世帯で月額660ポンド)の申請者が、過去9日間で約50万人に達したと報告。これは2008~09年の欧州経済危機の際の求職者手当申請数の1カ月分を上回る規模で、コロナウイルスによる雇用危機の深刻さを示しています。同省は、申請受け付けを加速するため1万人以上の職員を増員して当たっています。
ロンドンのカーン市長は、経済支援策から漏れた多くの人々が、外出自粛を無視して全国からロンドンに集まっているとして、感染拡大防止のためにも、自営・フリーランスなどへの支援が必要だと訴えていました。