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2020年3月27日(金)

辺野古訴訟 沖縄県の上告棄却

最高裁、制度乱用を容認

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(写真)土砂投入が強行されて1年になる辺野古沿岸=2019年12月13日、沖縄県名護市(小型無人機で撮影)

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う辺野古埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は「違法な国の関与」だとして、沖縄県が訴えた「関与取り消し訴訟」の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は26日、県の上告を棄却しました。

 沖縄県は2018年8月、埋め立て予定海域に軟弱地盤が見つかったことなどを理由に埋め立て承認を撤回。工事の法的根拠が消えました。これに対して防衛省沖縄防衛局は、一般国民の権利救済を目的とした行政不服審査法を悪用して、自ら「私人」になりすまして不服審査を請求。これを受け、19年4月に石井啓一国交相(当時)が承認撤回を取り消す裁決を下しました。

 県は、国は一般私人とは異なる「固有の資格」を有しており、行審法に基づく審査請求の対象外だと主張。総務省の国地方係争処理委員会に審査を申し出ましたが、却下されたため、同年7月、提訴に踏み切りました。

 しかし、福岡高裁那覇支部は昨年10月、国も一般私人と同様の立場になりうるとして訴えを却下。最高裁判決もこれを踏襲しました。国民のための権利救済制度である行政不服審査制度の乱用を容認する不当判決です。

 同時に、今回の判決は埋め立て承認撤回自体の適法性については判断していません。県は今回の訴訟以外にも、国交相の裁決そのものの違法性を訴えた「抗告訴訟」を提起しており、より実質的な審理が行われる見通しです。


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