2020年3月19日(木)
主張
経済危機の打開
消費税の5%減税を決断せよ
新型コロナウイルスの感染拡大が世界と日本の経済を大きく揺さぶる中、国民生活を守る緊急対策とともに、経済危機を打開する大胆で強力な対策が不可欠になっています。最も有効な対策は、昨年10月に10%に増税した消費税の5%への減税です。自民党内からも消費税減税を求める声が出始めました。安倍晋三政権が国民の声を聞かず強行した消費税の10%への増税の道理のなさが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化によって、いっそう鮮明です。消費税率の5%への減税の決断は、いよいよ待ったなしです。
自民党内からも声上がる
安倍政権と与党は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の急激な悪化に対応するため、追加の経済対策づくりを本格化させています。17日には安倍首相が自民党の岸田文雄政調会長に「骨太」の経済対策の検討を指示しました。減税など税制面からの対策も検討すべきではないかという自民党の議論の中で、消費税に触れる意見も目立ち始めました。先週末、首相と会談した自民党の甘利明税制調査会長は、消費税が話題になったことを否定しませんでした。
首相が起用した内閣参与の一人・浜田宏一エール大学名誉教授は、消費税の大型減税について「2年間程度、増税を撤回してよい」と発言しています(「産経」15日付)。16日の参院予算委員会では、自民党議員が「消費税を5%にするのも一つの考え方」と首相に質問しました。自民党の若手議員45人による提言では、「消費税は当分の間軽減税率を0%」などという項目が盛り込まれています。
自民党内からでさえ、このような動きが出てきたことは、深刻な経済状況から抜け出すには消費税減税が大きな効果を持っていることを認めざるを得ないためです。
新型コロナウイルスの感染拡大による危機は世界規模になっており、主要国でつくる経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)は、このままでは2008年のリーマン・ショック級の事態が来ると警告しています。日本もこれまでのような外需頼みでなく、内需を温める政策に切り替えることが必要です。
日本共産党の志位和夫委員長が12日発表した経済提言は、消費税5%への緊急減税の本格的検討と実行を強く求めています。もともと大不況の原因をつくったのは2回にわたる消費税の8%と10%への増税です。消費税率を5%に引き下げることは、国民の所得を増やし、低所得者と中間層への強力な支えになります。消費税減税は、国民の暮らしを温め、国内総生産(GDP)の5割強を占める個人消費を引き上げ、経済を押し上げます。日本共産党以外の野党議員からも消費税の減税を求める声が出ています。政治が手をこまねいている時ではありません。
予算案の抜本修正で
安倍政権のこれまでの対策は、あまりに規模が小さすぎます。追加対策も、20年度予算成立後の補正予算で行うというのは、大問題です。予算案を抜本修正すべきです。いま急がれるのは、消費税を減税する政治決断です。
これまで大もうけして、巨額の利益をため込んでいる大企業に内部留保を使わせ、働く人の賃金や下請け企業の単価を引き上げることも重要です。