2020年3月13日(金)
主張
暮らしの危機打開
政府と大企業は責任を果たせ
昨年10月からの消費税率の10%への引き上げによる消費不況への突入に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が日本経済の新たな危機を広げる中で、暮らしを支えることが喫緊の課題となっています。労働者が賃上げなどを求める春闘も前半のヤマ場を迎え、13日は全国の中小業者や市民などが各地の税務署に確定申告書を提出する重税反対統一行動の日です。働く人の暮らしと中小業者の経営を守るため、安倍晋三政権と大企業は責任を果たすべきです。
ダブルパンチの重大事態
消費税の増税と新型コロナウイルスの感染拡大のダブルパンチに襲われた日本経済は、危険水域に入っています。昨年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、7~9月期に比べ年率で7・1%も落ち込んだように、消費税増税のダメージはあらわです。
これに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけています。訪日客の激減などで各地では観光業を中心に存亡の危機に直面しています。深刻な影響は、食料品などの販売をはじめ、小売業、製造業、運輸業などさまざまな業種にわたります。安倍首相が独断で決めた小中高校などの全国一律休校要請や中国・韓国からの入国制限強化が、経済活動をいっそう停滞・悪化させています。
安倍政権が10日発表した新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾は、国民の不安に応えるものではありません。仕事を休まざるを得ない人への休業補償はきわめて不十分です。政府の要請によるイベントの“自粛”などで収入が断たれた業者や劇団員などに対する補償はなく、子どもの休校で休んだ場合のフリーランスへの給付は雇用者の半分です。1・6兆円の中小企業の資金繰り対策も、リーマン・ショック時などの20兆円規模の緊急保証制度などに比べ、1桁足りません。根本的な練り直しが必要です。
国民の暮らしが重大な危機にひんしているときには、従来と次元の異なる対策が不可欠です。安倍政権は、消費税を5%に引き下げるなどインパクトのある政策に踏み切るときです。日本共産党の志位和夫委員長が12日発表した国民生活防衛のための緊急対策を政府は真剣に検討すべきです。
安倍政権の対応とともに、アベノミクスの下で大もうけしてきた大企業の姿勢も問われます。11日に出された自動車などの大企業の労働組合への回答は、軒並みベア(賃上げ)ゼロか低水準となりました。大企業は今こそ、国民生活と日本経済の危機打開のために、これまで460兆円もため込んだ巨額の内部留保を取り崩し、労働者の賃上げや下請け業者の単価引き上げなどに還元すべきです。
5%減税の声を広げて
今年の重税反対統一行動は、消費税10%増税後初の行動であるとともに、新型コロナウイルス感染拡大で苦しむ業者の切実な声を示す重要な機会です。全国商工団体連合会(全商連)などでつくる実行委員会が各地の実情に合わせて創意工夫した取り組みとして、納税者の自主申告権を行使します。
全労連と国民春闘共闘委員会も大幅賃上げ・最低賃金の引き上げなどとともに、消費税の5%への減税実現をかかげ、運動を進めています。力を合わせ、暮らしの危機を打開しましょう。