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2020年3月10日(火)

新型コロナ対策 抜本強化を

参院予算委 田村副委員長の質問

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(写真)パネルを示して質問する田村智子副委員長(右)=9日、参院予算委

国民の収入補償

直接給付を求める

 日本共産党の田村智子副委員長は9日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス対策として、子どもを貧困に追いやらない、生活困窮を生じさせない思い切った予算措置を求めるとともに、感染症対策に当たる組織や人員体制の抜本的な強化を求めました。

 田村氏は、全国一律の休校要請に続いて、中国・韓国からの入国制限措置がとられ、大混乱となっていることを指摘。「一体、どういう科学的根拠に基づく措置か」とただしました。安倍晋三首相は「中国の感染者の数が累積で相当数になっている。韓国は感染者の数が急速に伸びつつあることに鑑み、判断した」というだけで何の根拠も示せませんでした。田村氏は専門家の知見を得ていないことを指摘し、「何のために専門家会議を設置したのか」と、繰り返される安倍首相の独断専行を厳しく批判しました。また、全国一律休校要請で、子どもたちの学校での学び・遊び・成長する権利が制限されたうえ、就学援助を受けている世帯などは、学校給食がないことで子どもの健康と家計が直撃を受けているとして「希望者への学校給食について、国の費用負担で提供してほしい」と求めました。

 萩生田光一文部科学相は「自治体等が昼食を提供する場合、その経費を新たに国が一律に支援することは難しい」という一方、家庭の経済状況が厳しい子どもへの対応は「検討する」と答えました。

 田村氏は一律休校、入国制限、イベント自粛などで国民の収入補償をどうするかは喫緊の課題だとして、「フリーランス、自営業者、演劇や音楽の関係者などへの直接給付が必要だ」と訴えました。

地方衛生研・PCR検査

体制弱体化明らか

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 田村氏は、新型コロナウイルスを検出するPCR検査をはじめとした感染症対策体制が弱体化している実態を取り上げました。

 田村氏は、地方衛生研究所1カ所あたりの平均予算額は2004年の5・8億円から13年は4億円まで減少し、職員数も減少していることを指摘。PCR検査を行う地方衛生研の職員が「普段から残業をしないと片付かない業務量なのに、新型コロナの対応が加わって限界に近い」と、厳しい実態をネット上で告発していることを紹介し、「地方衛生研の人の配置に本気で取り組んでほしい」と求めました。

 加藤勝信厚生労働相は「メリハリのあることを、それぞれの地域でやっている」などと強弁しました。

 田村氏は、医療機関からのPCR検査要請の窓口と、市民の相談電話の窓口も兼ねる保健所の箇所数は1995年の845カ所から2019年には472カ所になり、職員数も激減していることを指摘。「感染症対策体制の弱体化は明らかだ。ここを直視して思い切った体制を今すぐとっていこうと言うべきだ」と強調しました。

国立感染研

予算増を決断せよ

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 国の感染症対策の体制強化のためには、国立感染症研究所の人員と予算増も不可欠です。しかし2010年度の研究者数は328人で今年度は307人と削減されています。田村氏は「業務合理化で定員削減はできるという方針が国立感染研にもそのままあてはめられてしまった」と批判しました。

 国立感染研は国の感染症対策に必要な研究所ですが、国立感染研の予算は大学の研究者と予算を競い合ってとる競争的研究予算が大きな割合を占めています。田村氏は「感染症対策予算として、基盤的な予算を来年度からしっかり手当てするべきだ」と指摘。加藤厚生労働相は「研究がしっかりなされるよう努力をしていきたい」としか答えませんでした。

 田村氏は、国立感染研の予算が足りず機器の修理もままならないことや退職者の補充がされないことに危機感を持ち、13年から国会で取り上げてきたことを指摘。昨年4月にも「せめて定員削減の対象から外すべきだ」と訴えたにもかかわらず政府は定員削減をやめると言わなかったとして、「真剣な検討と即刻政策を改めるということを求める」と強調しました。


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