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2020年3月7日(土)

主張

新型コロナと経済

次元の違う対策に力を尽くせ

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本と世界の経済を直撃しています。とりわけ日本は、昨年10月からの消費税の増税による新たな消費不況の深まりに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による観光客の減少、生産休止やイベント中止などで経済はいっそう冷え込み、企業の経営も国民の暮らしも危機は深刻です。安倍晋三政権の一律休校要請なども経済活動に大きな打撃を与えています。苦境に追い込まれた中小企業への支援や、働く人が不当に扱われないようにすることなど、政府は抜本的な経済対策を強化すべきです。

金融危機以来の脅威

 新型コロナウイルスの感染の広がりによる経済悪化で、すでに愛知県の旅館や北海道の食品業者が経営破綻しました。感染の影響が国内に出始めた1月の経済指標は、日本経済が重大な事態に入りつつあることを浮き彫りにしています。経済産業省が発表した1月の商業販売額は1年前に比べ4・5%も落ち込みました。1月の家計調査は前年同月比で3・9%もの落ち込みです。全国中小企業団体中央会の1月の景況調査も、9業種のすべてで悪化しました。雇用情勢も悪化が鮮明です。

 消費税の増税で、昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は、5期ぶりに前期比で年率換算6・3%もの大幅マイナスとなりました。今年1~3月期も大きく落ち込むのは必至です。

 経済協力開発機構(OECD)は、新型コロナウイルスにより、「世界経済は金融危機以来の最も深刻な脅威に直面している」と警告しました。2008年のリーマン・ショック級の事態になるとの予測も出ています。

 世界的な株安が続く中、日本銀行の黒田東彦総裁は、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めるとの談話を発表しました。しかし、いくら株式市場を下支えしても、経営不安に直面する中小・零細企業や働く人たちの暮らしの支えにはなりません。

 安倍首相が専門家の意見も聞かず、独断で実施している新型コロナウイルス対策が経済を冷え込ませる結果を招いているのは重大です。一律休校によって仕事を休まざるを得ない保護者への休業補償は、とても行き届いているとは言えません。イベント「自粛」によって仕事がなくなった人たちへの対策もあまりに不十分です。

 5日に突然打ち出した中国・韓国からの「入国制限」強化も、経済への影響は計り知れないのに、それに対する有効な対応策は見えません。政治の責任で万全の対策を講ずるべきです。

英知を集めることこそ

 日本共産党の小池晃書記局長は3日の参院予算委員会で、リーマン・ショック時には20兆円の緊急保証制度を実施したのに、今回はわずか5000億円の資金繰り支援しかないことを指摘し、金利を大幅に下げるなど、中小業者が安心して利用できるようにすることを求めました。「異次元の大不況」には、次元の違う対策が必要です。消費税率を緊急に5%に減税するなども真剣な検討が不可欠です。

 志位和夫委員長は4日の党首会談で安倍首相に、専門家の知見や各党・会派の意見を聞き、現場の判断を踏まえた対策を決めるよう要求しました。首相は基本姿勢を改めるべきです。


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