2020年3月5日(木)
主張
感染拡大への対策
不安の解消へ立て直しを図れ
新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる安倍晋三政権の対応に国民の不安と疑念が相次ぐ中、日本共産党の小池晃書記局長は3日の参院予算委員会で、混乱が続く小中高校などの全国一律休校の見直しを迫るとともに、現場の切実な声にこたえた抜本策を早急に実行するよう求めました。教育、医療、経済など各分野で直面している深刻な問題解決のため積極的で具体的な提起です。安倍政権の感染症対策が抱える弱点と立ち遅れは明らかです。首相は独断で方針を決めて押し付ける姿勢を改め、対策を大本から立て直すべきです。
自治体独自の判断尊重
首相が専門家の意見も聞かず突如表明した一律休校は、子ども、親、学校や学童保育の現場に過大な負担を強いています。小池氏は、保健室や給食があり、子どもをみる教員もいる「安全装置」としての学校の役割を強調し、科学的根拠のない「全国一律」をやめ、各自治体の自主的判断にゆだねることを強く求めました。萩生田光一文部科学相は「自治体の判断を尊重」と表明しました。一律休校要請は事実上破綻しています。自治体ごとに実施する独自のやり方を支援することが求められます。
突然の休校で休業を余儀なくされる親たちの不安にこたえることは政府の責任です。ところが安倍政権が決めた、仕事を休んだ労働者への「新たな助成金制度」では、フリーランスは対象外です。政府は、経営相談窓口の設置や、貸し付けなどで対応するとしていますが、これでは収入がなくなったことへの補償になりません。政府の「自粛要請」に応じイベントなどが中止になり、収入が断たれたというのに、フリーランスや自営業者の損失が補てんされないのは大問題です。小池氏は、フリーランスにきちんと給与補償をする仕組みをつくるよう提案しました。従業員の解雇を防止するため事業者を支援する雇用調整助成金制度の大幅拡充も欠かせません。
医療提供体制はどうか。首相は、緊急時に5000床以上の病床を確保すると言いますが、その根拠は不明確です。小池氏は、感染症指定医療機関で実際に受け入れ可能な病床が確保されていない事例があると2年前に総務省から勧告されていたことを取り上げました。しかし、厚生労働省はそれを受けた調査結果をまとめていません。安倍政権は、いまの感染症対策で役割を果たしている公的・公立病院の統廃合を推進する方針を変えていません。根本的な政策転換を図るべきです。
PCR検査(遺伝子検査)は、当面「帰国者・接触者外来」を持つ844医療機関で対応するのが政府方針です。ところが安倍首相は、保険適用されるとどの医療機関でも検査可能になるかのような誤解を与える説明をしました。混乱を広げかねません。小池氏は「誤解の余地のない説明に心がけるべきだ」と主張しました。
国立感染研の抜本強化を
小池氏は、感染症対策で重要な役割を担う国立感染症研究所の体制の弱さを指摘しました。予算も職員も減らされ、新型コロナウイルス検査にあたるのは十数人です。一方、アメリカの疾病対策センター(CDC)の人員は国立感染研の40倍以上です。国立感染研を抜本的に強化し、CDCのような組織をめざすことが不可欠です。