2020年3月2日(月)
生活保護ケースワーク委託化
公的責任後退、管理強化
大阪で学習会
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生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)は1日、安倍政権が狙う生活保護のケースワーク業務の外部委託化に関する学習会を大阪市内で開きました。参加者は、今後の運動の展開などについて意見交換しました。
尾藤さんは、生活保護のケースワーク業務委託の問題点を多くの人に知ってもらうのと同時に、本来のケースワークのあり方を追求しようと呼びかけました。
生活保護のケースワーク業務をめぐり安倍政権は、現行制度で外部委託が可能な業務については2020年度中に必要な措置を講じるとし、法改定が必要な業務も外部委託できるよう検討し、21年度中に結論を出すとしています。
元堺市のケースワーカーで立命館大学准教授の桜井啓太さんは、外部委託の議論が地方自治体からの提案という形を取っているが、背景には与党・自民党の12年4月のマニフェスト(政権公約)などがあると指摘。外部委託は単なるコストカットだけでなく、公的責任を縮減させながら管理強化する仕組みだと述べました。
全国公的扶助研究会会長で花園大学教授の吉永純さんは、自治体アンケートから、現場はケースワークの業務委託に関して心配していることが明らかだと強調。委託されたケースワークは収入調査や不正受給防止のためとする「監視的ケースワーク」になる恐れがあると話しました。
元大阪市職員の谷口伊三美さんは、ケースワーカーが担当する標準世帯数が80世帯程度とされるなかで、同市は134世帯も1人で担当している実態を紹介。実質的なケースワークができていないと訴えました。