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2020年2月28日(金)

山陽高雇い止め無効

広島高裁 一審判決を変更

 広島市西区の私立山陽高校で2015年に雇い止めされた非正規雇用の男性教員(38)が地位確認と雇い止め以降の賃金支払いを求めた訴訟の控訴審判決が26日、広島高裁でありました。森一岳裁判長は、訴えを退けた一審広島地裁判決を変更し、雇い止めを通告した後に別の理由を追加して雇い止めにしたのは無効だとする判断を示しました。その上で、雇い止め後、1年間の労働契約は認められるとし、1年分の賃金を支払うよう命じました。

 男性は2011年4月から4年間契約更新を繰り返し、正規任用の約束をほごにされていました。

 一審判決では、学園側が雇い止め時には退職の理由にしていなかった金銭取り扱いの不備を唯一の根拠として雇い止め後に付け加えた「退職理由証明書」は有効だと認めていましたが、森裁判長は、「退職理由証明書に記載のなかった事由を使用者において解雇理由として主張することは許されない」と指摘。雇い止めの追加は無効であり認められないとしました。

 判決後の報告集会で男性教員は、「地裁判決と比べると前進しているが、思いとしては納得できない部分がある」と語りました。弁護団の井上明彦弁護士は、非正規労働者の雇い止めについて、追加は無効であるとする判決は初めてだとし「私たちの主張が認められた。一審の不当な判決をはね返した点で前進した。意義は大きい」と強調。一方で、「退職理由証明書」交付後に持ち出された金銭取り扱いに言及し、男性教員の地位を1年限りのものとしたことを「これで良しとすることはもちろんできない」と述べました。


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