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2020年2月21日(金)

ウーバーなどの請負労働者

世界で組織化進む

「最も活力ある分野」

 【ベルリン=伊藤寿庸】情報技術(IT)企業がインターネットで提供する基盤(プラットフォーム)を通じて、企業や個人から仕事を請け負って働く「プラットフォーム労働者」による抗議行動について、欧州労連(ETUC)のシンクタンク「欧州労働組合研究所(ETUI)」がこのほど研究をまとめました。米大手ウーバーの運転手など、この分野が「労働者の組織化で、最も活力にあふれる分野の一つ」となっていると指摘しました。


欧州労組研究所

 英リーズ大学の研究者が世界65カ国語のニュースのデータベースを通じて調査した結果、2015年1月から19年5月までで世界で324件の抗議行動が起き、件数は年とともに増加していました。この新しい形態の労働者が「劣悪な労働条件と新しい形態の搾取に対して声を上げている」と指摘しました。

 最も抗議行動が起こっていたのは、食品の配達、荷物の配送、タクシーなど運輸の三つの分野でした。抗議の形態はストが30%、デモが27%、裁判所への提訴が34%でした。

 地域ごとに要求をみると、米・カナダでは賃金、欧州大陸部では雇用の地位や労働条件、労働規制に関わる問題、労働組合の代表権が重視されていました。また、欧州大陸部での抗議行動は既存の労働組合が主流なのに対し、英国やアイルランド、途上国では非公式な労組によるものが多数でした。

 さらに「プラットフォーム企業が、労働者を自営、独立契約業者(直接の雇用者でなく請負業者)などと位置づけることで、労働者の不安定化、社会的保護や雇用保護の欠如が起こっている」と指摘しました。

 プラットフォーム労働の労働条件の特徴として、▽低賃金や賃金不払い▽仕事の不足ないしは働きすぎ▽不規則な労働時間▽顧客の評価からのプレッシャー▽プラットフォーム企業側によるアプリからの遮断▽プラットフォームの決定の透明性や説明責任の欠如―などを挙げています。


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