2020年2月20日(木)
主張
「桜」前夜祭・新疑惑
首相答弁の根幹を崩す大問題
「桜を見る会」前日に都内の高級ホテルで開かれた安倍晋三後援会主催の前夜祭をめぐり、首相の国会答弁の根幹を突き崩す新たな疑惑が大問題になっています。首相は前夜祭の明細書はホテル側から受け取っていないなどと主張していますが、ホテル側が「明細書を主催者に発行しないケースはない」などと首相の言い分を否定する説明を書面で行ったのです。首相はあれこれ弁明しましたが、ホテル側は「例外はない」と明言しています。首相の答弁が虚偽だった疑いは一層深まりました。もう言い逃れは通用しません。
ホテル側が答弁を否定
問題の前夜祭は、「桜を見る会」と事実上一体の行事として2013年以降毎年開かれてきました。首相後援会が主催なのに、後援会の政治資金収支報告書に記載がないことが政治資金規正法に反するなどと厳しく追及されています。
首相は、記載は必要がないとして、▽参加者はホテルと個別に契約した▽参加費5000円は安倍事務所職員が便宜的に会場で集めて、すぐにホテルに納めた▽ホテルからもらった宛名のない領収書を各人に渡した▽事務所は明細書を受け取っていない―などの理由を挙げ正当化してきました。
ところが17日の衆院予算委員会でこれを覆す新事実が明らかになりました。13年、14年、16年の過去3回の前夜祭会場となったANAインターコンチネンタルホテル東京が、立憲民主党の辻元清美議員の問い合わせに、▽主催者に見積書や明細書は発行している▽宛名は空欄では発行しない▽会費は主催者からまとめて支払ってもらう―と回答したのです。首相の国会答弁と全く逆の説明です。
辻元議員に食い違いを指摘された首相は、ANAホテルに事務所を通じて確認したとして、「辻元議員にはあくまで一般論で答えたもので、個別案件については営業の秘密にかかわるため回答には含まれていない」と言い張りました。
しかし、この答弁について同ホテルは17日の予算委終了後、複数の報道機関に「ホテルからは、『個別の案件については、営業の秘密にかかわるため回答に含まれない』と申し上げた事実はない」と回答しました。さらに「『一般論として答えた』という説明をしたが、例外があったとは答えていない」と強調しています。首相答弁が成り立たないことは明白です。
ANAホテルが「営業の秘密」と首相の事務所に述べたということも裏付けはなく、「首相のうそでは」という声が相次いでいます。疑念は膨らむばかりです。首相はホテルにどう問い合わせ、どんな回答を得たのか―。実際のやりとりを書面で明らかにすることは、絶対に必要です。それを拒否し、“自分を信じないのか”と開き直る首相の姿勢は許されません。
首相の資格にかかわる
昨年11月の臨時国会から追及されている安倍首相の「桜」疑惑は、国政私物化という国政運営の土台にかかわる大問題です。首相が国会で虚偽答弁を重ねているだけでなく、招待者名簿などの公文書が廃棄されたという極めて深刻な問題も浮き彫りになっています。首相の答弁は、「会」の参加者は「募ったが募集していない」など支離滅裂になっており、完全に破綻しています。首相の資格にかかわる疑惑の徹底解明が急務です。