2020年2月18日(火)
主張
10~12月期GDP
消費税増税が経済壊している
内閣府が発表した昨年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価上昇分を差し引いた実質成長率が、前期(7~9月期)に比べ1・6%低下しました。年率に換算すると6・3%ものマイナスで、事前の民間の予測を上回る落ち込みです。安倍晋三政権が強行した10月1日からの消費税率の10%への引き上げが、家計も経済も直撃しているためです。GDPのマイナス成長は5四半期ぶりで、日本経済が消費税の増税後、新たな消費不況に突入したことを示しています。消費税率を緊急に5%へ戻し、国民の暮らしを応援する政治の実現が緊急の課題です。
安倍経済失政の責任
実質経済成長率の大幅なマイナスは、消費税増税が日本経済にとって大打撃になっていることを浮き彫りにしています。米中貿易紛争の影響などを受けた輸出の低迷に加えて、消費税増税前の7~9月期が前期に比べ0・1%の伸びと、増税前の駆け込み需要がほとんど見られなかったのに照らしても、増税後の落ち込みはきわめて大きなものがあります。消費税増税の強行によって日本経済に新たな困難をもたらした、安倍政権の失政は明白です。
主な費目別では、GDPの約6割を占める個人消費(民間最終消費支出)が消費税増税に直撃されて前期に比べ2・9%のマイナスになり、消費の冷え込みを裏付けています。実額で見ても、持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出は、前回の消費税増税後の2014年4~6月期を下回っています。個人消費の下げ幅は前回増税後のマイナス4・8%に次ぐものです。08年のリーマン・ショック後にもなかった落ち込みです。民間企業の設備投資も前期に比べ3・7%の落ち込み、民間の住宅投資も2・7%のマイナスになりました。米中貿易紛争などの影響を受けた輸出も0・1%の減です。
消費税増税後、政府や民間が発表した経済指標で見ても、家計の消費支出は、昨年12月前年同月比で4・8%もの大幅下落、勤労者の実質賃金も昨年12月0・9%のマイナス、内閣府の景気動向指数も5カ月連続で「悪化」という判断になりました。
所得が増えず消費が落ち込んでいるのは、安倍政権が続けてきた「アベノミクス」と言われる経済政策が、大企業や富裕層をうるおすだけだからです。庶民の暮らしは良くなりません。政府は、消費税増税後の反動減は「前回ほどではない」(菅義偉官房長官)といいましたが、消費税増税を強行した安倍政権の責任は重大です。
安倍政権は消費税の増税に合わせて、複数税率の導入やキャッシュレス決済へのポイント還元などの「十二分の対策」を取ると宣伝しました。しかしその効果がなかったことは、一連の経済指標、とりわけ最も基本的なGDPの大幅な低下で明らかです。「アベノミクス」の中止と消費税の減税が急務です。
安倍政権退陣させてこそ
消費税を減税し、暮らしを応援する社会保障の充実など国民向けの経済政策を実行する財源確保は、大企業や大資産家の応分の負担、米国製兵器の爆買いなど“無駄な”支出の削減で十分可能です。重要なのはそのための政治の転換であり、安倍政権を退陣に追い込むことが不可欠です。